ブックキュレータープレジデント社 編集者 中嶋愛
2016年アメリカ大統領選後のモヤモヤした気持ちへの処方箋
トランプが次期アメリカ大統領に。その知らせに世界が騒然となりました。拡大する格差への不満、仕事を脅かすグローバル化への不安が大きなうねりとなって、「ありえない」とされた男を権力の座に着けた今回の政治劇。なぜこの結果を予測できなかったのか?これは民主主義の終わりの始まりなのか?トランプ大統領に至る道を振り返るための5冊。
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第一次世界大戦と第二次世界大戦の間に書かれた本。先人たちの犠牲のうえに到達した高い生活水準と人民の権利を当然のように享受しつつ自らの義務や責任を棚上げにする「お客様」気取りの大衆人を批判し、自分たちの頭で考えることをやめて国家に人生を委ねると独裁者の暴走を誰も止められなくなると警鐘を鳴らしました。
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人権、自由平等、民主主義はそれ自体が尊いわけではなく、破壊や殺戮なしに支配層の交替が行われるためにもっとも使い勝手がいいので制度化されているだけ、という身も蓋もない話。そもそも社会にとって平等こそが異常だがそれを肯定すれば革命や暴動になる。この矛盾をどうするか。価値観がゆさぶられる刺激的な内容です。
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現代社会にタイムスリップしたヒトラーのズレた言動が笑えます。でもだんだん笑えなくなります。確かに彼は狂信的な独裁主義者ですが、とにかく毅然としていて話が明快、そしてつねにドイツ最優先。彼の世界観や思想は到底受け入れられないと思っていても、だんだん「何とかしてくれそうな人」に見えてくるから怖いのです。
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その源流は、知性が特権階級に独占されることへの反感でした。それを体現した人物が20世紀初頭の大衆伝道家、ビリー・サンデーです。孤児院から大リーガーになり、富豪の娘と結婚したのち牧師に転身、ホワイトハウスへも出入りする超セレブへと駆け上りました。反権威主義はアメリカという国のかたちでもあるのでしょう。
ブックキュレーター
プレジデント社 編集者 中嶋愛新聞記者、雑誌編集者を経て書籍編集者に。経済・ビジネスから実用まで主にノンフィクションジャンルの本を手がけている。2014年にビジネス大賞を受賞した『ワーク・シフト』(リンダ・グラットン著)、をはじめ、担当した本は『哲学用語図鑑』(田中正人著)、『年収は「住むところ」で決まる』(エンリコ・モレッティ著)、『がんが自然に治る生き方』(ケリー・ターナー著)、『諦める力』(為末大著)、『疲れない脳をつくる生活習慣』(石川善樹著)、『戦略読書日記』(楠木建著)、『チャーチル・ファクター』(ボリス・ジョンソン著)など70冊以上。スタンフォード大学大学院国際政策プログラム修了。
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