心の機微が丁寧に映し出された、1対1の女の友情を描いた物語

家族のなかで孤立し心を閉ざしている理央と、両親の愛を存分に受けて育ちながらも生きにくさを感じている佐央子。高校で出会った2人がゆっくりと友情を育みながら、再生していく物語です。不器用な2人の距離が少しずつ縮まり、やがて深く強固な友情が芽生えていく過程をじっくりと描いています。

優れた漫画を数多く発表しながら、2016年に57歳という若さで亡くなった吉野朔実の作品集です。表題作では、高校生の真央子が友人になった完璧すぎる同級生に抱く、強烈な憧れと嫉妬を描いています。女の友情がはらむまっすぐな好意が、くるりと反転して激しい憎悪に変わる瞬間を鮮やかに描出した1編です。

バブル全盛期につましいながらも日々の生活を楽しむるきさんと、流行に敏感なOLのえっちゃん。性格は正反対でも気の合う独身女性2人の、何気ない日常を切り取ったコミックです。るきさんの暮らしぶりをたしなめたり、うらやましがったりするえっちゃんの姿は、女の友情のリアルな感覚をうまく表現しています。

少し風変わりな幼なじみの岡崎さんと、著者の思い出を描いたコミックエッセイです。気の合う友達と難しいことなんて考えずに、長い時間を共有して楽しいと思うことを一緒にする。小学生の女の子の友情の物語は大人になって失われた幸せな時間に満ちていて、ノスタルジックな気持ちにさせられます。

小学生からずっと友人だった果歩と静枝。30歳を目前に、2人の友情に訪れた小さな変化を綴った小説です。お互いを知りすぎているからこそ本当の気持ちが言えなかったり、相手を思いやるあまり逆に傷つけてしまったり、大人になるにつれて複雑になりがちな女の友情のもどかしさを、丹念に描いています。