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日本の海洋冒険小説の原点はこの人にあった!初めての白石一郎
多くの日本人は自分たちのことを海洋民族だとは思っていないでしょう。海で閉ざされた土地に住む、という意識の方が強いかもしれません。しかしかつて日本にも、「海は開かれたもの」と考える人々が多くいました。そんな海に生きる者たちの物語を一貫して書き続けた海洋冒険小説の旗手・白石一郎の一連の小説に加え、新鋭による傑作もあわせて紹介します。
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海狼伝 新装版
白石 一郎(著)
村上水軍に加わった少年・笛太郎が、そこでの活躍する様子を描いた物語です。下手をすると陰惨なお話になってしまう海賊という題材を、青春小説がごとき爽やかさで描いています。海や船の描写がリアルで、読むだけで潮風を感じる爽快さは秀逸です。直木賞を受賞した本書は、著者会心の海洋冒険小説といえるでしょう。
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海王伝 新装版
白石 一郎(著)
『海狼伝』の続編です。海賊衆として活躍していた笛太郎は、海賊船・黄金丸の船大将となり海外に雄飛します。世界へと広がったスケール感のなかで成長した笛太郎の活躍を楽しめるのはもちろん、本書では父親との対決など笛太郎の精神的な葛藤も描かれています。前作同様、一気に読み進めることのできるロマンあふれる海洋冒険小説です。
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三浦按針(ウイリアム・アダムス)は徳川家康に仕えた英国人です。家康の外交顧問であったこともあり、海の男としてのイメージは薄いかもしれません。しかし実際には、乗組員の多くが命を奪われるほどの長く厳しい航海の末、日本にたどり着いた屈強の航海士だったのです。激しい海の描写は、読者の心さえも波のなかに巻き込んでしまうことでしょう。
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新しい時代小説の担い手・和田竜による歴史巨編です。主人公は女海賊。しかも醜女というユニークな設定。村上海賊の精強ぶりを描きつつ、個性豊かな面々に主人公をからめていきます。後半の激しく執拗な海上戦は圧巻です。白石のリアリティ重視の作風とは異なり、豊かな想像力を感じさせます。日本の海洋冒険小説に、新たな傑作が生まれました。
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