意外と奥が深い！さまざまな設定で描かれた「男女逆転もの」コミック

「男女逆転もの」のおもしろさを改めて世に知らしめた、新海誠監督の大ヒット映画『君の名は。』のコミカライズ本です。少年少女の入れ替わりを描いた王道ともいえるストーリーですが、途中からは予想外の胸を裂かれるような展開が待っています。映画には出てこないエピソードも描かれているので、映画を観た方にもオススメできる一冊です。

まず度肝を抜かれるのは、男女の人格が入れ替わって1年が経過した地点から物語が始まるところです。性別も年齢も違う体に入ってしまった主人公たちが新しい体と人生に慣れはじめた頃、偶然もとの体にばったり出会います。そのとき2人は何を思い、どう行動するのか？静謐でいて、心にずしんと響くコミックです。

大学デビューに失敗して引きこもりがちになった青年の楽しみは、コンビニで見かける少女を尾行することでした。ある日、彼の意識は少女の体に入っていて・・・。根暗な主人公の生々しい反応も見所ですが、最大のポイントは単純な入れ替わりではない点です。青年の肉体に少女の魂は入っておらず、その魂のゆくえを探るストーリー展開に惹きつけられます。

江戸時代の人々をそっくり男女逆転させる、という壮大にして大胆な発想で、歴代の女将軍と大奥の色男たちを描いた一大歴史絵巻です。男子のみに蔓延する疫病の存在が設定に真実味をもたせ、物語を奥深くしています。男女の役割が逆転した大奥の恋愛模様はもちろん、歴史的事件がどう推移するかも気になるところです。

血のつながらない子を引き取った主人公は「この子には母親が必要だ」と感じ、女装して母親を演じることを決意します。外では普通のサラリーマン、家では美人の母親という二重生活を送っていましたが、気になる女性を見つけてしまい・・・。いつ女装がバレるのか、読んでいてハラハラすること間違いなしのコミックです。