起こらないとも限らない!?絶望的状況の世界が描かれたディストピアコミック

ディストピアの一つの形、文明が崩壊した終末の世。世界に2人だけのチトとユーリは愛車に乗って、廃墟と化した広大な世界を彷徨います。粗末な食事や些細な文明の残り香に幸せを感じる2人。豊かな現代社会の私たちの目線で2人を見たとき、その幸せの尺度の小ささには、むしろ絶望をおぼえることでしょう。

第三次世界大戦後、2030年の日本。優生学の思想が蔓延し、独裁政権で男女隔離が図られた管理社会。主人公の狂四郎は、国家反逆病と呼ばれながらも管理の手を逃れ、旅の過程で狂った世界の現実を数多く目にします。時系列ごとの政策には現実に近しいものも多くあり、管理社会の恐怖を身近に感じることができます。

3年前に突如、東京の空に現れた母艦と呼ばれる巨大な円盤。そこから出撃する侵略者と自衛隊との戦闘が、日常と化した日本。空を見上げれば母艦が浮遊している、絶望と隣り合わせの世界。約束された人類終了の日を前に、それでも高校生の青春は綴られますが、絶望の陰にある青春譚の暗さに気が滅入るコミックです。

ネットワークが超高度に発達した社会。テクノロジーに依存しすぎた人類は、ネットワークにおける災厄により、AIの目を盗んで密やかに生きることになります。災厄が起こる前のネット端末を求め、幾千のフロアを彷徨うキリィ。ディストピア作品の定番とも呼べる「機械の反逆」というテーマで描かれています。

戦争終結から17年後。戦争により汚染された地球、異常な進化を遂げた生物、武装した盗賊団。国家や文明が崩落したあと、残された人々の目的はただ生き残るだけ、という絶望世界。物資輸送を生業とする島田倉庫の新人・才蔵が、そんな世界で力強く生き抜く、ディストピアに対する人類の反抗を描いたコミックです。