ブックキュレーターフォトグラファー・記者 長塚奈央
7~66年の時を経て映画化。映像に「はっ!」とする前に味わいたい原作
映画化された作品は、先に読むか、それとも先に観るか迷うことってありませんか?今日オススメする本は、かつて私が読んだ時にはまだ映画化されていなかった作品。どれも幻想的で読むと文字から、音や匂いや景色が立ちのぼってくるような世界。だからこそ、後に映像になった時に「はっ!」と新鮮な驚きのあった原作を集めました。
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ドイツ人作家が18世紀の悪臭漂うパリを舞台に書いた一冊。主人公はまったく「無臭」の赤ん坊として生まれ落ちるも、その類い稀なる臭覚で世界を嗅ぎ、識別し、記憶する男。故に彼が至高の香りを求めるや話は恐ろしくも美しく奇妙な展開に。異様に匂いに敏感になったような錯覚を覚えるほどの読後感。21年後に映画化。
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8編を収録したアメリカの短編集。40ページにも満たないタイトル作は14年後の2016年、日本人監督が沖縄の離島に舞台を移し、美しい一本の映画に。ただ独り静かに貝を集めて暮らす盲目の老いた貝類学者の生活は、病を患った女性が突如現れたことで変わっていく。体感しているようなリアルな自然描写を観る前にぜひ。
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1947年フランスのボリス・ヴィアンが書いた本作は後に、各ジャンルへ影響を及ぼすほど独特の世界観を持った一冊。中でも原作から66年を経て鬼才ミシェル・ゴンドリーが撮った一本は傑作。幸せ絶頂のさなか、妻の肺に睡蓮の蕾ができるという奇病に襲われる主人公。ファンタジックでシュールな言葉の連なりを楽しんで。
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原版のタイトルは「嵐の夜」。眠れない夜につらつらと頭に浮かぶ質問。永遠の果ては?私はどこからきたの?運命って?そんな思いがシンプルな言葉と線画で236ページにわたり綴られた絵本。子供も大人も一度は似たような体験があるのでは?7年後に映画化、こちらは誰かに読み聞かせてもらっているような心地良さ。
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2009年現代のアニメーション技術で映画化された絵本。30年も読み継がれた原作はユーモアあふれる作品を手掛けてきたジュディ&ロン・バレット夫妻によるもの。空からハンバーガーが降ってきたりパンケーキの嵐が吹き荒れたりする架空の町の話は、徐々に恐ろしさも感じるほど。細かい線で描かれた挿絵のも見どころ。
ブックキュレーター
フォトグラファー・記者 長塚奈央1973年東京生まれ。学習院大学文学部フランス文学科卒業ののち、パルコブックセンター本部勤務を経てカメラマンに転身。書籍や雑誌を中心に料理や雑貨、インテリアの撮影を多数手掛けるほか、カメラ学校の講師などもつとめる。著書に自ら旅し、食のシーンから街の空気を写真と文章で綴った『上海口福案内』がある。近年は撮影の傍ら、地域に密着したWebニュースの記者として積極的な取材活動も行っている。日常からあっという間に非日常へとワープできる本と映画、舞台が生活に必要不可欠。
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