ブックキュレーター哲学読書室
じつは私たちは、様々な人と会話しながら考えている
一人で考えるのも大切だが、それだけだと一人よがりになる。自分が今ちょうど考えていることがただの思いつきなのか、それとも自分以外の人とも共有可能な広がりのあるアイデアなのか、それを検証したり、意見をいただくうえで一番手っ取り早いのが、じつは誰かと会話することである。意見の一致、優劣はどうでもいい。一人よがりにならず、考えを深め、思考を生き生きとさせてくれるのが会話である【選者:篠原雅武(しのはら・まさたけ:1975-:哲学・建築思想)】。
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現代思想の転換2017 知のエッジをめぐる五つの対話
篠原 雅武(編) , 中村 隆之(ほか述)
哲学、文学、歴史学といった分野を異にする5人へのインタヴュー。2016年の夏、3ヶ月で一気に行った。今後の文系学問、それも哲学や思想といった分野はどうなるのでしょうか?という素朴な疑問をぶつけたのだが、この疑問はじつは、今後私はどうしたらいいんだろうか?というとても私的な悩みに発するものであった。そのようなワガママに応じてくれた皆さんの度量の広さにはただただ感謝するしかありません。
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ディアローグ ドゥルーズの思想
ジル・ドゥルーズ(著) , クレール・パルネ(著) , 江川 隆男(訳) , 増田 靖彦(訳)
第1章所収の「対話」「インタヴュー」とはそもそも何かということをめぐる考察は、出会い、他者、生成といったドゥルーズ哲学における主要概念にかかわる思考と連動するなかで試みられている点で、とても面白い。私がとくに重要と思うのは、「絶対的な孤独の底からこそ、どのような出会いも可能になる」という見解である。
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朝永振一郎、牧野富太郎、中谷宇吉郎、湯川秀樹という、植物や物理といった分野を異にする4人の科学者たちが、若くてまだ立派な業績を出す前に、一緒の寮で暮らしていたという設定で書かれた作品。寮母さんが、科学者たちの悩みや問いを聞き出していく。それはフィクションであるはずなのに、読むうちになぜか、本人たちが本当に話しかけてくれているかのように思われてくる。
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あなたを選んでくれるもの
ミランダ・ジュライ(著) , ブリジット・サイアー(写真) , 岸本 佐知子(訳)
映画の脚本を書くのに行き詰ったジュライが、フリーペーパーに掲載されている売買広告の売り手たちに電話をかけて訪問し、インタヴューをするなかで書かれた作品。ネットの世界に属することなく生きている人たちと話をするうちジュライにおいて密かにすすむ内的変化を読んだ私は、人の話を聴くことは結局、自分を深く知ることにつながり、自分を変えていくことにつながるのだということに思い至った。
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対面的 〈見つめ合い〉の人間学
大浦 康介(著)
会話は、ただ言葉のやりとりだけでなく、視線、息づかい、相手の体温、顔色といったものを感じあう場で発生する。「生身の人と人とが対面しているときに2人のあいだに生まれるこの何ものか」としかいいようのない場である。それを著者の大浦は「対面的磁場」と呼ぶのだが、本書はただひたすらにこの磁場をめぐって書かれている。いきなり「ガンつける」という怖い場面から書かれているのが、意味深長である。
ブックキュレーター
哲学読書室知の更新へと向かう終わりなき対話のための、人文書編集者と若手研究者の連携による開放アカウント。コーディネーターは小林浩(月曜社取締役)が務めます。アイコンはエティエンヌ・ルイ・ブレ(1728-1799)による有名な「ニュートン記念堂」より。
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