闇があるからこそ光が際立つ！演劇の世界の舞台裏が描かれたコミック

演劇のトップスターに一番大事な条件とは？という命題に迫ったコミックです。スポットライトの位置や指先の角度など細部にまでこだわって演じている敬太郎と、演技は未熟ながらも舞台に立つだけで偶然を引き起こす天才肌の麦蒔。「華」という才能に打ちのめされながらも誰よりも努力をしてもがく敬太郎が、麦蒔と主役の座を競う様子が描かれています。

他界した兄が天才俳優であった誠は、陰口をささやかれながらも有名演出家の作品で主役の座を手に入れました。しかし死んだはずの兄が姿を現し、誠の演じるはずだった役に抜擢されます。なぜ兄は生きているのか、誠は役者として兄を超えることができるのか・・・。兄弟による熾烈な演劇対決が描かれてたコミックです。

何でもできてしまう器用さと感情表現が苦手な不器用さを併せもつ千石は、セミの演技をするために気合いで汗を止める舞台女優の今日子と出会い、演劇の世界へ導かれます。演じるためなら周囲もTPOもお構いなしの今日子と、それを習得しようと必死な千石の狂気を帯びた姿に戦慄するはずです。

「冥府の王（ハデス）」と呼ばれる魅力的な歌声をもつ男は、かつてイエス・キリストを演じてブロードウェイで脚光を浴びていました。役とは裏腹に歌で女性をたぶらかして貢がせ、家族を捨てて娘に憎まれるなど、ミュージカルのためなら悪事もおかまいなし。神をも彷彿とさせる悪魔の歌声の圧倒的な表現に、曲を聞いてみたくなってくるでしょう。

「紅花歌劇団」は未婚女性だけで演じる、女性の夢が詰まった舞台です。劇団に入団するための音楽学校に倍率20倍の試験をくぐり抜けたさらさは、『ベルサイユのばら』でオスカルを演じることを目標に奮闘します。夢に向かって青春しているだけでなく、女の子だけの環境特有の陰湿さがとてもリアルに描かれています。