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これぞ日本の名随筆

本には、小説やドキュメンタリーなどドラマティックに攻めてくるものもあるし、新書やビジネス書などの向上心を満たそうとしてくるものもある。だが、この世には、エッセイというジャンルもあるのだ。特別な人間ではない作者が、たいしたことのない日常を綴る。しかし、面白くてたまらない。ページをめくっていくと、「よくこんな文章が書けたな」と退けぞってしまう。時には、「この本があるから生きていける」とまで思わせる。「うまい随筆」というのが、確かにある。「これぞ日本の名随筆」と唸ってしまう本をご紹介したい。

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  • 世界音痴
    世界音痴
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    歌人・穂村弘の処女エッセイで出世作。原稿用紙数枚の短い世界で、サラリーマンの地味な日常がカーブを描く。ひらがなやオノマトペが多用される、くだけた文書なのに、「この人はものすごい読書量を持っているはず。かなり練って書いている」ということがビシビシ伝わってくる。短歌で使われるハイクオリティな言語センスを、散文でも惜しみなく放出してくれている。ついでに、笑いのセンスもすごい。

  • 詩人・金子光晴は妻の森三千代の不倫を機に、世界旅行へ出る。目的は、妻を不倫相手から物理的に離すことだ。パリに憧れを持っていた三千代は光晴の提案に賛成して出立するが、二人は無一文。中国に渡ってから、エロ小説を書いたり、春画を描いたり、返せないのに金を借りたりして、何年もかけてパリを目指す。三十代の頃の出来事を、七十歳を過ぎてから思い出して書いているのだが、そのせいでより純粋に、うっとりとした文章になっている。

  • 猫を家に招き入れたあと、たいして可愛がっている描写がなく、そっけなく接していたはずなのに、数ページ進んでその猫が失踪したら、突然の号泣。老人がここまで泣くものだろうか。猫が帰ってこない悲しみで風呂にも入れない。百閒本人はいたって真面目なのだが、読んでいるこちらは笑いが止まらない。「猫が帰ってこない」という繰り返しだけで一冊読ませるなんて、真の「文章の力」がなせる業だ。

  • 第二次世界大戦後にシベリア抑留を経験した詩人・石原吉郎。極限状態の中で言葉が絞り取られ、失語状態に陥った期間もあるという。帰国後に書いたエッセイは絶品。短い文章でも、これだけ重い読後感を与えられるものなのだな、と感服する。エッセイというのは、ストーリーとか、描写とかではなく、迫力だ。どんなに短い文章でも、研ぎ澄まされた言葉と、他者への温かい視線があれば、世界が生まれるのだ。

  • 夫の武田泰淳と共にロシア諸国と北欧を旅した際の旅行記。今で言うところの「天然」な文章で、どのシーンでも大笑いしてしまう。どんなに頭の良い人でも書けない、百合子のみが書くことができる、唯一無二の文章だ。団体旅行のため、様々なキャラクターが登場するのも面白い。特に「銭高老人」という同行者のキャラが際立っていて、腹がよじれる。

1978年生まれ。性別はない。國學院大學文学部日本文学科卒業。卒業論文は似ている人たちをカテゴライズする不思議さについて書いた「『源氏物語』浮舟論」。2004年に「人のセックスを笑うな」で文藝賞を受賞しデビュー。2023年、『ミライの源氏物語』で第33回Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞(選考委員:俵万智)。「誰にでもわかる言葉で、誰にも書けない文章を書く」が目標。『源氏物語』の現代語訳が夢。 【Bunkamuraドゥマゴ文学賞】 https://www.bunkamura.co.jp/bungaku/winners/33.html

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