マンガの常識を覆す！独特な世界観を醸し出す5冊

お盆に帰ってくるご先祖様達の姿が見える女の子。8月15日が何度も繰り返されていることに気が付いて・・・。SFだけど、夏のうだるような暑さやけだるい空気感は、青春時代のデジャブのように感じられます。夏休み、おばあちゃんの家で読みたい（笑）1冊です。

本のタイトルが出てくる収録作「奥村さんのお茄子」が一番おすすめ。突然現れたスーパーの店員風情の女性が、1968年6月6日のお昼に奥村さんが食べたものを調べ始めます。なんでもない日のなんでもない瞬間でも、実はいろんな人のいろんな想いが重なっている。どんな一日でもなるべく覚えていたいと思わせてくれます。

姉と弟が過ごす5日間のバカンス。姉の身体は実は貝殻と化していて・・・。SFホラーのような設定ですが、個性的な絵柄とユーモラスな展開のおかげで怖い感じはありません。そして少し歪んだ姉弟愛が心を揺さぶる、愛らしい作品です。

女子高生の木村さんが遭遇するバイト先や学校の面倒な男子たち。ほとんど災難に近い状況だけどいちいち相手しちゃう。誰にでもやさしく謙虚でちょっとにぶい木村さんだけど、ちょっと報われる感じのラストにほっこり。絵の上手さはピカイチの西村ツチカさんの作品です。

1冊に33作品が収録された、マンガのショートショート集。どの作品もテーマはもちろん違うし、絵柄も微妙に違っているのも面白い。ショートショートらしくSF感は満載ですが、ブラックな感じはあまりなく、くすくす笑いとほろり涙を誘う作品集です。