「才能」という魔物～抗いようもなく惹かれる、その魔力を感じる本

主人公は二人の女優。一人は才能にあふれた、演劇界のサラブレッドである響子、もう一人は、演劇を始めたばかりの一見地味な少女、飛鳥。天と地ほども違う境遇の二人を結び付けたのは、伝説のプロデューサー主催のオーディションでした。彼女たちを通して「天才」の境地を垣間見た瞬間に、鳥肌が立つこと間違いなしです。

気鋭の劇作家・演出家である保坂葉が、自らの戯曲を小説化した変わり種。絵を完成させられない画家と一人の少女の、優しくも残酷な恋愛の物語です。圧倒的な闇を描くと称賛される画家、しかし彼の描く闇は、自身の過去そのものでした。その苦しみをただ一人見抜いた少女が、彼を救うために与えた「光」とは・・・？

神山高校文化祭で、奇妙な連続盗難事件が発生、その名も『十文字事件』。部員四人の弱小部活「古典部」は、校内で名を挙げ文集を売りさばくため、犯人探しに乗り出します。物語を通して鍵となるのは、大仰でなくとも、身近に確かにある才能との邂逅です。読めばきっと、身に覚えがある感情に出会えるはず。

天才ピッチャー原田巧と、その球に魅せられた同級生キャッチャー永倉豪の出会いに始まる、言わずと知れた名作小説。才能を持つ者の、苛烈なまでのプライド。才能に直面した、「持たざる者」の葛藤。繊細な筆致で描き出される少年たちの生々しい心の叫びは、きっと鮮烈に心に残るでしょう。

「岬の奏でたピアノソナタ＜月光＞は一種の破壊兵器だった」ーー地方の音楽科高校のぬるま湯のような日常は、一人の転校生の演奏によって終わりを告げた。圧倒的な才能に、羨望、嫉妬、憎悪が渦巻く中、クラスの一人が殺される事件が起きる。容疑者はなんと、転校生の岬だった・・・。息もつかせぬ展開の音楽×ミステリー小説！