ブックキュレーター漫画家 倉田真由美
こんなところがあるんだ！狭くディープな世界5選
私たちって、旅好きですよね。使うお金だって、不動産や車などを除いたら、一番多額なのが旅費じゃないでしょうか。私は年間の旅費、服飾費よりはるかに上だと思います（私の中では、食＞旅＞＞＞＞＞オシャレ）。目に見える価値が残るわけじゃないのに、私たちってどうしてこんなに旅が好きなんですかね。まあ、しょっちゅう行けるわけじゃないので、日常では本を読むことで異世界に旅立つんですけど。本以外では、たまにママ友から聞くちょっとヤバいモンスターママの話なんかも、プチ旅気分になれますし。「素敵できれいなもの見たい」と同じくらい、「暗くて異形なもの見たい」という気持ちもあるのが不思議です。普段行けない知れない世界を教えてくれる5冊。
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つげ義春先生の本、学生時代に同じゼミだった黒田硫黄（『茄子』などヒット作多数の実力派漫画家）に薦められて読みました。異世界、まさに異世界感のある漫画。当時は「紅い花」等フィクションが好きでしたが、最近は彼自身を描いたエッセイ漫画的なものに惹かれます。この本片手に旅に出るつげファンは多いらしいです。
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闇の女たち 消えゆく日本人街娼の記録
松沢呉一（著）
旅行記ではなくても、異世界を覗き見る頃が出来れば旅に出るのと同じこと。文字通り、街に立って春をひさぐ闇の世界の女たちのインタビュー集。なぜわざわざ違法で危険な「たちんぼ」を選んだのか、同じ性を売るにもいろいろあるだろうに・・・。読んでも謎は深まるばかりです。
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私の年齢（46歳）でも性を売り物にしている女性はまだまだいますが、もっと年上でも足を洗えないままでいる人も少なくありません。好きでやっているならいいんですけどね。でもやっぱり若い女のほうが圧倒的にニーズがある世界で、先細りの商売をどうやって、どういう気持ちで続けていくのか。普段話す同世代のママ友たちと、この本に出てくる彼女たちと、何か違うのか。興味は尽きません。
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二十代の頃大好きだった大川興行の芸人・ハウス加賀谷さんの、統合失調症発症記録。相方の松本キックさんが共著のためか、それはもう大変分かりやすい、きっちり詳細も描いた大作になっています。統合失調症の世界、その世界の物の見え方感じ方にはいちいち驚かされます。
ブックキュレーター
漫画家 倉田真由美大学卒業後、「ヤングマガジンギャグ大賞」に応募し大賞受賞。2000年ダメ男を好きになる女たちを描いた『だめんず・うぉ～か～』連載開始。その後も『もんぺ町ヨメトメうぉ～ず』、アイドル漫画『終末アイドルフルフル９』『トーキョーはらへり散歩』『くらたまの恋愛やり直し!!塾』など、多数の漫画や書籍を執筆。現在は執筆活動のほかにテレビ・ラジオ出演、トークショーと多方面で活躍中。趣味は読書で好きなジャンルはミステリー、ホラー、好きな作家は貴志祐介、前川裕、小野不由美。
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