ブックキュレーター港の人 編集者 井上有紀
手紙は心をのせて今日も飛ぶ。美しい手紙、楽しい手紙に出会う本。
伝えたい思いを一語一語に託して書かれた手紙は、書いた人の心から相手の心へと、まっすぐに飛んでいきます。相手に気持ちを伝えたい一心でつづられた手紙を読むと、声や息づかいまでもが伝わってきて、まるで自分に宛てられたかのように感情が波立ちます。どんな名文にもかなわない美しさをもつ手紙の数々を読んでみませんか。
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トーベ・ヤンソン・コレクション 1 軽い手荷物の旅
トーベ・ヤンソン(著) , 富原 真弓(訳)
ムーミンの作者トーベ・ヤンソンの短編小説集の冒頭を飾るのは、日本の少女からフィンランドの孤島に住む女性作家に宛てて書かれた8通の手紙から成る短い作品。国も年齢も大きく違うふたりは遠く隔てられていますが、手紙はその距離を飛び越えて両者を結びます。そして、言葉に向き合う者の孤独の豊かさを教えてくれます。
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三島由紀夫レター教室
三島 由紀夫(著)
5人の登場人物の間で交わされる手紙だけで展開していく小説。書く人も、書かれる手紙も暴走し続け、駆け引きと思惑は入り乱れ、物語はスピーディーに展開します。人間の滑稽さを、こんなふうにカラッと明るく容赦なく描く三島由紀夫が現代に生きていたら、メールやLINEを駆使した楽しい小説を書いたかもしれませんね。
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世紀のラブレター
梯 久美子(著)
文豪から政治家、俳優や皇族、いろいろな人のラブレター集。手紙の背景がていねいに説明されていて、一度にたくさんの恋愛ドラマを見るように読める本です。思いやりに満ちたもの、格調高いもの、自分勝手なもの、いろいろですが、どれも必死な思いで書かれていて、その人の素顔があらわれてしまっているのが見どころです。
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二人の手紙 壺井繁治・壺井栄獄中往復書簡集 昭和五年−昭和九年
壺井 繁治(著) , 壺井 栄(著)
『二十四の瞳』で有名な壷井栄と、政治犯として逮捕された夫との間に交わされたたくさんの手紙。検閲がありますから、私たちはここに「書かれなかったこと」こそを感じながら読まなくてはなりません。ふたりが書いた手紙の写真もあり、簡素な便箋なのに、全部とても美しい。相手を思いやる心が結晶となったような手紙です。
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あたまの底のさびしい歌
宮沢 賢治(著) , 川原 真由美(画)
宮沢賢治が、親友、父や弟、教え子へ宛てて書いた手紙から選ばれた11通。正しい生きかたを探して悩み、もがく賢治の姿は中二病そのもの。かっこ悪くても苦しくても、そのような「弱さ」を持ち続けられる人だけが、人に希望を与えられるのかもしれませんね。現代を生きる私たちを励ましてくれる、美しい手紙たちです。
ブックキュレーター
港の人 編集者 井上有紀鎌倉の由比ガ浜にある出版社「港の人」勤務の編集者。手がけた本は、『目であるく、かたちをきく、さわってみる。』(マーシャ・ブラウン)、『きのこ文学名作選』(飯沢耕太郎編)、『胞子文学名作選』(田中美穂編)、『世界 ポエマ・ナイヴネ』(チェスワフ・ミウォシュ)、『90度のまなざし』(合田佐和子)など。海を見ながら自転車で通勤する時間が、毎日のいちばんの贅沢です。本棚の隅っこにあるような本もふくめて、一冊一冊大切に紹介します。ホームページhttps://www.minatonohito.jp
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