著作は600冊超え！多彩な世界の入門にぴったりな赤川次郎の本

爆死した友人から、熊のぬいぐるみを探すように頼まれた女子大生の由子。そして、そのぬいぐるみには爆弾が隠されているというのです。ぬいぐるみを探す由子を軸に、それを手にした人々の物語が描かれていきます。何十人という登場人物がぬいぐるみを介してすれ違い、ふとしたきっかけで出会うさまに人生のおもしろさを感じます。

5つの話が収録されている短編集です。物語の主人公は、どこにでもいそうな主婦や女子高生、サラリーマンたち。いつもの日常とほんの少し違う行動を取ってしまった彼らは、殺人事件や不倫疑惑など、さまざまな非日常を体験することに。もしかしたら自分にもこんなことが起こるかも・・・、と話に引き込まれてしまいます。

弟がドライブ中に人をひいてしまい、「どうにかしてくれ」と泣きつかれたOLの佐知子。そしてなんと弟が死なせてしまった男は誘拐犯で、どこかに女性を監禁しているらしいのです。人質の行方を探す佐知子ですが、次から次へと厄介ごとへ首を突っ込むハメに。ページをめくる手が止まらくなるサスペンス・ミステリーです。

奥多摩の山中に降った白く発光する雨。その奇妙な雨に打たれた人々は、心の奥底に潜む憎悪や殺意を呼び覚まされてしまいます。山中と山麓の町を舞台に、狂気に陥った人々が繰り広げる凄惨な一夜が、テンポよくときにゾッとするほど冷酷に描かれています。ホラーの醍醐味である理由のわからない不気味な「何か」を味わえる物語です。

一つの中編と三つの短編が収録されています。本書に収められている話は、産業スパイ小説に、カップルの別れ話、だまされた女性のちょっとした復讐劇と、実にバラエティ豊か。ハラハラドキドキしたと思ったら、しんみりして、気づけば笑っている。一冊の本で、いろいろな体験をさせてくれます。