ブックキュレーター元総合格闘家・アーチスト 須藤元気
私(須藤元気)が22歳のときに読んで影響を受けた本
22歳のとき、私は海外から帰国し、日本のリングで格闘技を始めたころになります。実は、人生の岐路にたったこの時期まで、本を読むという事を殆どしない人間でしたが、あるきっかけで村上春樹さんの本に出会い、それを機にそれまでが嘘のように読書にのめり込んでいきました。
この時期に本と出会い、様々なジャンルの本を貪るように読み、そしてそれを吸収していったことが、今の私を形作った一因と言えると思います。そんな私が22歳のときに読んで影響を受けた本を紹介します。
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羊をめぐる冒険 上
村上 春樹(著)
多動性の気もありじっと椅子に座ることさえも出来なかった私が読書にのめり込んでいくきっかけとなった一冊です。マンガを読むようにスイスイと読んだ記憶があります。今になり「この本の何が面白かったのだろう?」と考えると、村上さんの小説って型が決まっているというか、日常の中に邪悪なものが入ってきてそれに向き合い、また日常に戻るみたいな。そして主体性を捨てていない所じゃないかと。どんなに辛いことがあっても「やれやれ」という感じで力を抜いて日常を大切にしながら主体性を失わずなんとか乗り越えていく、という他の日本文学とは違う部分に惹かれたのだと思います。
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構造主義や哲学というと、どうしてもとっつきにくいイメージがあるなかで、タイトル通りバックグラウンドがなくても「世の中ってこういう構造になっているんだ」というものが学べる一冊です。哲学と聞くと、どうしても難しそうという印象を抱くと思いますが、内田先生はそこを身内ノリにせず、読者を置いてけぼりにせず、とても分かりやすく噛み砕いて説明して頂ける。社会に羽ばたこうとしている22歳の時期、社会のルールを学ぶ上で大切なモノを教えてくれる一冊です。
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司馬先生の本はマンガ的要素が強いというかエンタテインメント性が高く、文章も非常に美しい作品ばかりなので本当に読み始めると止まらない感じです。「峠」は幕府軍と薩長軍と分かれている中で中立を保とうと奔走する藩士の話です。格闘技をやっていると、白黒付けたがる、敵か味方かという視点でものごとを見がちなのですが、この本を読むと人生には白でも黒でもないグレーもある、好きな人嫌いな人もいるけど、上手く折り合いをつけていくというのが成熟した大人なんだと教えてくれる一冊です。
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四つの約束
ドン・ミゲル・ルイス(著) , 松永 太郎(訳)
「正しい言葉をつかい」「思い込みをせず」「何事も個人的に受け取らず」「常にベストを尽くす」。この本に書かれている事はスピリチュアルでもなんでもなくとてもシンプルなことばかりですが、この4つの約束は今でも心がけて守っています。言葉が現実を作り上げていくので、特に「正しい言葉を使う」というのは大事ですね。
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定本後藤田正晴 異色官僚政治家の軌跡
保阪正康(著)
この本はもともと文藝春秋から発刊されていた単行本で読みました(今回紹介しているのは同書の文庫版)。今の日本の政治情勢を見ていると非常に混沌としていて「これから日本はどうなっていくんだろう」と不安に思うときがあります。そんなとき、「カミソリ後藤田」と呼ばれた後藤田先生のような骨のある政治姿勢をみせた方が現代にいてくれたら・・・などと考えてしまいます。
ブックキュレーター
元総合格闘家・アーチスト 須藤元気1978年、東京生まれ。拓殖大学大学院地方政治行政研究科修了。元総合格闘家。現在、拓殖大学レスリング部監督。2012年より世界学生レスリング日本代表監督を兼任。2015年には日本オリンピック委員会レスリング競技強化スタッフに就任。2009年にパフォーマンスユニットWORLD ORDERを立ち上げるなど、アーチストとしての活躍の場も拡げている。主な著書に、20万部突破のベストセラーとなった『風の谷のあの人と結婚する方法』をはじめ、『やりたい事をすべてやる方法』、『今日が残りの人生最初の日』、『須藤元気のつくり方』などがある。
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