ブックキュレーター作家 久保寺健彦
久保寺健彦が選ぶ、学校では教えてくれない危険な生きざまを描く、少年少女小説
少年時代をもう一度やりなおせると言われたら、迷った末に、断わるかもしれない。楽しいことも多かったけれど、つらいこと、苦しいことも、山ほどあった。そんな時期を生き抜くための力を与えてくれる、少年少女が主人公の小説を五冊選んだ。かつて少年少女だった方たちにも、おすすめです。
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結婚式のメンバー
カーソン・マッカラーズ(著) , 村上 春樹(訳)
十二歳の少女・フランキーは、制御不能な鬱屈を抱えて、アメリカ南部の田舎町に暮らしている。兄の結婚式を機に、その鬱屈が炸裂する。思春期の狂気がほんの数日のできごとに凝縮され、七〇年以上前のこの作品は、永遠のジュブナイルとなった。
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“機関銃要塞”の少年たち
ロバート・ウェストール(作) , 越智 道雄(訳)
舞台は第二次大戦下のイギリス。少年たちは撃墜されたドイツの爆撃機から機関銃をとりはずし、それを据えつけた自分たちの要塞を築く。おそらくだれにでも覚えのある秘密基地のワクワク感が、徐々にスケールアップし、想像を超えるところまで連れていかれる。幕切れのかっこよさは無類。
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“ナイフの使い手だった私の祖父は十八歳になる前にドイツ人をふたり殺している”という書き出しから、いきなり物語に引きこまれる。戦争の不条理を余すところなく描きつつ、最後までユーモアを失わない。読み終えたら、きっと冒頭に戻ってしまうはず。読めばわかります。
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増大派に告ぐ
小田 雅久仁(著)
他人には理解できない妄想を抱えたホームレスの男性と、十四歳の少年が出会ったとき、二人をとり巻く世界はゆがみ始める。リアルに立脚しながら、ファンタジーの領域へ飛翔していく筆力がすばらしい。どこまでも暗く、その暗さが美しさに転じた、稀有な作品。
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夢を持つことが、必ずしも幸福だとは限らない。夢の実現には困難がつきまとう。のたうち回るほど苦しんでも、結局それはかなわないかもしれない。しかし、嵐のような日々を振り返れば、そこには二度とないひたむきさで生きた、自分たちの軌跡があるのだ。そんな小説です。
ブックキュレーター
作家 久保寺健彦一九六九年東京都生まれ。早稲田大学大学院日本文学研究科修士課程中退。二〇〇七年『すべての若き野郎ども』で第一回ドラマ原作大賞選考委員特別賞、『みなさん、さようなら』で第一回パピルス新人賞、『ブラック・ジャック・キッド』で第十九回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞。そのほかの作品に、『中学んとき』『GF(ガールズファイト)』『ハロワ!』など。最新刊は『青少年のための小説入門』。
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