ブックキュレーター港の人 編集者 井上有紀
いま、もう一度、図書館について考えるための本。
時代の変化に沿って変えていくことに価値が置かれがちな昨今ですが、変わらずにいることが使命であるものも少なくないはず。本のあり方が激しく変化しようとしている今こそ、図書館について、改めて考えてみたいのです。本はたんなるモノではなく、人間が人間であるために欠かせないもの。これらの本は、その事実をしっかりと伝えてくれます。
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アルカイダから古文書を守った図書館員
ジョシュア・ハマー(著) , 梶山 あゆみ(訳)
数百人もの人が「運び屋」として、テロリストの目をかいくぐり、それぞれの車や船で37万冊もの古文書を運び出す。まるで映画の一場面のような出来事が起こったのは、2012年、西アフリカのマリです。ドラマティックで迫力のあるこのノンフィクションの底を流れるのは、本が人類の財産であるという確固たる事実です。
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移動図書館ひまわり号
前川 恒雄(著)
東京郊外、日野市立図書館の始まりは一台の移動図書館でした。1965年のことです。たった一台の車が地域の人々へ本を届けることで、人々が変わり、社会が変わっていったのです。これは当時尽力したひとりの図書館員の手記ですが、図書館がもつ社会的な意義を再確認するために、今、私たちが読むべき本なのです。
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世界の図書館 美しい知の遺産
ジェームズ・W.P.キャンベル(著) , ウィル・プライス(写真) , 桂 英史(日本語版監修) , 野中 邦子(訳) , 高橋 早苗(訳)
大判でずっしりと重くて値段も高いけれど、思い切って買う価値のある本です。古今東西の図書館を紹介していますが、美しい図書館を愛でるだけの本ではありません。人と書物が共に生きてきた、その営みの壮大さに驚嘆し感動する写真集です。日本では唐招提寺経蔵、司馬遼太郎記念館、多摩美図書館などが紹介されています。
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石井桃子コレクション 3 新編子どもの図書館
石井 桃子(著)
『クマのプーさん』『ちいさいおうち』『ピーターラビット』などを翻訳し、日本の良質な児童文学の土台を作った石井桃子は、1958年、51歳の時、自宅の一室を開放します。この本は、家庭文庫のさきがけであるこの「かつら文庫」の7年間の記録。石井桃子の本への信頼、子どもへの信頼に胸を打たれます。
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爆撃で崩れ落ちた家の下から本を掘り出した青年。決して本好きではなかったけれど、読めない英語の本を開いたとき、彼を「自由の震え」が襲ったといいます。命が脅かされる戦争の最中にこそ、人々は本を欲する。この事実が、私たちにとって本とは何かということを雄弁に語っているように思います。
ブックキュレーター
港の人 編集者 井上有紀鎌倉の由比ガ浜にある出版社「港の人」勤務の編集者。手がけた本は、『目であるく、かたちをきく、さわってみる。』(マーシャ・ブラウン)、『きのこ文学名作選』(飯沢耕太郎編)、『胞子文学名作選』(田中美穂編)、『世界 ポエマ・ナイヴネ』(チェスワフ・ミウォシュ)、『90度のまなざし』(合田佐和子)など。海を見ながら自転車で通勤する時間が、毎日のいちばんの贅沢です。本棚の隅っこにあるような本もふくめて、一冊一冊大切に紹介します。ホームページhttps://www.minatonohito.jp
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