とんこつ、ホークス、修羅の国!?読めばわかる！福岡が舞台の小説

西日本最大の歓楽街・中州で生まれ育った無戸籍の少年・蓮司の目を通し、歓楽街に生きる人々の姿が描かれています。学校にも通えず、真夜中の中州を徘徊する蓮司を中州の人々は可愛がり、蓮司はたくましく成長していきます。歓楽街や山笠の生き生きとした描写とともに、無戸籍児童の問題をも扱った社会派小説です。

福岡・百道の精神病院から逃亡した勝気な博多女と、プライドの高い名古屋男がおんぼろ車に乗ってひたすら南を目指す、九州縦断ロードノベルです。精神にトラブルを抱える2人の旅はときに切なく、まさにケルアックの『オン・ザ・ロード』九州版といえるでしょう。おかしな2人の逃亡劇、道路地図を片手に楽しんでください。

福岡県南部、筑後川に浮かぶ大野島で育った松子。教師となった彼女は小さな事件をきっかけに、あっという間に転落人生を送ることになります。男に一途で、愛のためならすべてを放り出す情とエネルギーを持つ松子は、実に福岡の女性らしいタイプ。彼女が流れついた果てに、故郷・筑後川の風景が重なるラストが印象的です。

福岡の県境・三瀬峠で若い女が殺され、その犯人を追うクライム・ノベルです。物語の後半は逃亡劇となり、主人公の目に映る福岡や長崎の風景が美しく描かれます。福岡弁での会話も非常にリアリティがあり、登場人物を身近に感じるでしょう。一つの犯罪の裏には、さまざまな理由が存在することを考えさせられる名作です。

福岡近郊の街を舞台に、ろくでなしの両親のもと育った幼い娘・春日の視点を通して、大人のずるさ、世界の理不尽を執拗に描いた小説です。幼いながらも冷静に大人たちを観察して淡々と生き延びていく春日に、子どもでいることのやるせなさを突きつけられたようで、思わずドキッとします。