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橋本治が現代を生きる私たちに残したメッセージとは?
2019年1月29日に他界した作家・橋本治。小説だけでなく古典の現代語訳から評論、戯曲の執筆まで幅広い分野で活躍し、強靭な知性を持った稀有な物書きとして知られていました。最期まで日本人の知性と教養について考え続けた橋本治の評論・エッセイの中から、私たちが生きている現在の社会や文化につながる本をピックアップしました。
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まだバブルの余韻が残る1991年から青年誌「ヤングサンデー」で連載されていた、若者に向けたメッセージ集。バブル崩壊と資本主義の矛盾をいち早く見抜いた橋本治は、『貧乏は正しい!』と宣言し、新しい「社会主義」について思いを巡らします。日本社会が相対的に「貧乏」になってしまった、今だからこそ読み直してほしいシリーズです。
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1970年代末、はじめて少女マンガを評論したのが橋本治でした。それまで少女マンガは女の子の人気を集めていましたが、「大人」が語ることなどなかったのです。好きなものをちゃんと自分の言葉で語る、という評論はここから始まったと言っても過言ではありません。多くの少女マンガ読みに勇気を与えた、歴史的な評論集です。
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さまざまなジャンルの本を書いた橋本治の強靭な知性はどうやって鍛えられたのか、その秘訣を語ったのがこの本です。「わからない」を出発点に、自分の頭で納得しながら疑問を解いていくことが唯一の方法なのだということを丁寧に教えてくれます。「自分の身体は頭がいい」は、橋本治の知性を端的に表した名言だと言えるでしょう。
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橋本治が晩年になって取り組んだのが福沢諭吉でした。『学問のすゝめ』を読み解いていくうちに、実は当時も現代も日本は似たような問題を抱えていることが明かされます。日本の近代化を目指して「学問」の大切さを説き、政治に対していらだちを隠さない福沢の言葉は、現代にも通用するというわけです。そんな橋本治による講義録をまとめた一冊。
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PR誌「ちくま」での2014年から2018年までの連載をまとめた時評集です。「アナ雪」や「安倍とトランプ」など、50の事象についての考察が掲載されています。ここには現代社会や政治があきれるほど「バカ」になってしまったことへの嘆きが読み取れます。「考える」ことをやめなかった橋本治からの最後のメッセージと言えるでしょう。
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