ブックキュレーター朝日新聞出版編集者 大田原恵美
人間社会は興味深く、人の心は面白い!と思わせる心理本
編集者となって20年近く、気づけば心理系の本をやることが多かったように思います。きっかけはあわいものでも、やっていくうちに人間の奥深さや広がりを感じ、人の心は面白いなぁと年をとるごとに実感。仕事の参考本や個人的興味として買った心理系の本のうち、おすすめ本5冊といわれたらこの5冊かな、と思うものをご紹介します。
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やさしさの精神病理
大平 健(著)
同じような言動をしたはずなのに、ある人からは「冷たい」と言われ、別の人からは「優しい」と言われ。なぜ、こんなことが起きるのだろう。大学時代、友人たちとの会話で「やさしさって何?」と疑問に感じることがあり、手に取りました。「やさしさ」は、時代や社会によって変わる不確定なものということを教えてくれます。
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「『もうイヤだ!』と思えれば、あとはよくなるだけ」。冒頭の1章から茂太先生は前向きです。でも、空回りの前向きでなく、落ち込んだ心も肯定したうえでの前向きさ。「もうイヤだというくらい悩むのは、あなたが誠実な人だから」と認めてくれる。茂太先生の本は、あったかい。その中でもとりわけ大好きな一冊です。
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周囲の「べき」「当たり前」「常識」に縛られずに、人からは「いいかげん!」と思われようとも自分の「心地よさ」を求めていく。すると、失敗や衝突があったとしても、お風呂でお湯につかったときのような「いいかげん~♪」に辿り着けるのかなと思えます。心屋さんの言葉選びのユニークさも存分に味わえます。
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うつや神経症、依存症などの精神的な問題に向き合う際に、医学アプローチではなく「愛着」に注目した本です。愛着とは、子どもとその子を特別な関心と愛情をもって世話する養育者(主に母親)との間の結びつきのこと。愛着のしくみやその理論が発展していった経緯、克服への指針、ワークもあって読み応えがあります。
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河合隼雄セレクションの一冊。講演録が元になっていて語りかけ口調なので読みやすいです。時折関西弁が交じるのも人間味があって、話がすっと入ってきます。心理の問題は「どう表現するか」が大切ということ、極論や断定ではなく、「こう考えてもいいのではないかな」くらいがいいということを実感します。
ブックキュレーター
朝日新聞出版編集者 大田原恵美朝日新聞出版 編集者。1978年生まれ。大学卒業後、いくつかの出版社を経て朝日新聞出版に。編集した主な心理系の本に『すりへらない心をつくるシンプルな習慣』(心屋仁之助)、『働く人のためのアドラー心理学』(岩井俊憲)『「すべて投げ出してしまいたい」と思ったら読む本』(諸富祥彦)『アンガーマネジメント入門』(安藤俊介)など。趣味は旅、歴史、不動産・建築など。
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