ブックキュレーター哲学読書室
やわらかな思考、奇想の知へようこそ!
パスカル、リヒテンベルク、カネッティ。共通点は未完の断想を残したことと明晰な文体。アフォリズム的で開かれた断想は、その時どきの考え、出来事や人びとを真正に書きとめた記録でもあります。考える手がかりを与え、時に挑発しながら、わたしたちに知の継承を託した作品を紹介します。【選者:須藤温子(すとう・はるこ:1972-:日本大学芸術学部教授)】
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リヒテンベルクの雑記帳
ゲオルク・クリストフ・リヒテンベルク(著) , 宮田 眞治(編訳)
アフォリズムの嚆矢『雑記帳』。35年にもわたって書きためられた世界・人・思考の記録。言葉の思いもよらない結合や飛躍、機知にあふれた自由で軽やかな奇想の知は、ゲーテ、ニーチェら数多くの思索家を魅了した。今なおわたしたちを刺激し続け新たな知へと導く「世界文学におけるもっとも豊かな書物」(カネッティ)。
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第三帝国の言語〈LTI〉 ある言語学者のノート
V.クレムペラー(著) , 羽田 洋(訳) , 藤平 浩之(訳)
単一化され貧困になり、濫用され価値が変質したナチスのドイツ語。ファシズムを生きのびたユダヤ人学者クレムペラーはそれを毒にたとえた。ナチスの心情や概念や思考習慣は、言語を介して永らく、ナチス・ドイツ崩壊後も人びとを支配し続ける。ナチズムの言葉を記録し、その害毒を明らかにした警告の書。
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ヒロシマ日記
蜂谷 道彦(著)
自らも被爆した広島逓信病院長の蜂谷道彦が、原爆投下からの56日間を書き綴った事実の記録。日々の天候にはじまり、原爆症の経過、焦土と化した市内、生きのびた人びとの肩を寄せ合う生活や会話、死への畏怖――蜂谷の見た人類の悲惨と希望。戦争の世紀に不可欠な「真正な記憶と想起の文学」(カネッティ)として必読の書。
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エリアス・カネッティ伝記 上巻
スヴェン・ハヌシェク(著) , 北島 玲子(訳) , 黒田 晴之(訳) , 宍戸 節太郎(訳) , 須藤 温子(訳) , 古矢 晋一(訳)
20世紀ヨーロッパを生きぬいた、セファルディ系ユダヤ人作家カネッティとは何者だったのか。彼の稀有な人生を、遺稿、書簡、メモと関係者へのインタビューから再構成。ウィーンからの亡命前後の状況や謎に満ちた後半生――ロンドンやチューリヒでの生活、執筆、ノーベル文学賞、人びとと家族との交流――がついに明らかに。
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エリアス・カネッティ 生涯と著作
須藤 温子(著)
古き良きウィーンを描く自伝やエキゾチックな旅行記で親しまれるカネッティには謎めいた魅力がある。群衆に心を奪われ、一冊しか小説を書かず、真っ向から死に抵抗し、亡命先でもドイツ語を捨てず、人間観察好きで、変身を愛し、リヒテンベルク同様、断想を書き続けた作家。作品と思考の変遷からカネッティの秘密に迫る。
ブックキュレーター
哲学読書室知の更新へと向かう終わりなき対話のための、人文書編集者と若手研究者の連携による開放アカウント。コーディネーターは小林浩(月曜社取締役)が務めます。アイコンはエティエンヌ・ルイ・ブレ(1728-1799)による有名な「ニュートン記念堂」より。
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