ブックキュレーター哲学読書室
いまさら〈近代〉について考えるための5冊
加速主義は進歩か反動か。その問い自体にはさほど意味がない。彼らは有り得べき〈近代〉を取り戻そうと企てる。〈近代〉の遺産から何を捨て、何を受け継げば西洋は立ち直れるのか。だから問いは常に〈近代〉そのものに関わる。モダニティについて再考すること。今さら、あるいは今こそ。【選者:木澤佐登志(きざわ・さとし:1988-:文筆家)】
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〈近代〉、それは毒でもあり薬でもある。ピーター・ティールによれば、啓蒙思想は西洋にグローバル化の力を授けたが、その一方で脆弱性をももたらした(その結果が9.11である)。新反動主義はこのジレンマ(主は与え、主は奪う)にひとつの解決を与えようと試みるだろう。
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太平洋戦争勃発直後、昭和17年に雑誌『文學界』が「近代の超克」を特集した。京都学派、日本浪漫派、文學界同人によって形成された座談会は、日本がはじめて〈近代〉に対峙しようと試みたメルクマールとしてある。しかし〈近代〉の対自化も超克もなされることは遂になく、問いは投げ出されたまま私達に残された。
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難破する精神 世界はなぜ反動化するのか
マーク・リラ(著),会田弘継(訳),山本久美子(訳)
反動家は〈近代〉とともに開始した歴史の不可逆な流れに対して〈否〉を突きつける。彼らは〈近代〉の影の部分として、啓蒙の光によってさらにその輪郭を際立たせてゆく。「西洋の没落」に取り憑かれた反動家たちは、革命家にも似た歴史的想像力を駆使して、しかし未来ではなく過去に喪われたノスタルジアの夢を見る。
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1676年11月における、ただ一度限りのライプニッツとスピノザの邂逅。〈近代〉を巡る二人の哲学者の思索は、接近と乖離を伴いながらそれぞれが特異な知的軌道を描いていく。ライプニッツの中でのスピノザ的なものと反スピノザ的なものとの葛藤は、そのまま彼の中での〈近代〉的なものに対する葛藤でもあった。
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哲学読書室知の更新へと向かう終わりなき対話のための、人文書編集者と若手研究者の連携による開放アカウント。コーディネーターは小林浩(月曜社取締役)が務めます。アイコンはエティエンヌ・ルイ・ブレ(1728-1799)による有名な「ニュートン記念堂」より。
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