ブックキュレーター哲学読書室
フランスにおける動物論の展開
1970年代に英米圏で「動物の権利」運動が開始され、人間と動物の倫理的・社会的関係が問われてきた。フランスでも思想や文学の領域で、動物の概念の再定義がなされたり、哲学的な動物論が展開されたりしている。動物のまなざしに曝されて新たに開かれた世界で、人間中心主義的な思考はいかに変容するだろうか。【選者:西山雄二(にしやま・ゆうじ:1971-:首都大学東京准教授)】
- 36
- お気に入り
- 4703
- 閲覧数
-
バスルームで猫に自分の裸体を見られた体験から始まる、動物論をめぐるデリダの思索。デカルト、カント、レヴィナス、ラカン、ハイデッガーにおける動物の否認が指摘され、動物と人間の伝統的な対立関係が脱構築される。デリダと動物に関する入門としては、パトリック・ロレッド『ジャック・デリダ 動物性の政治と倫理』(勁草書房、2017年)も参照されたい。
-
動物性をめぐって約2500年の西洋思想史を論述する圧倒的な労作。人間性と動物性の境界はいかなるものか、肉食の倫理はいかに根拠づけられるのか、動物への変身と輪廻はいかに表象されてきたか、苦痛に基づいていかに倫理的な判断をすればいいのか、動物は世界をもっているのか、といった多種多様な議論が叙述される。
-
動物に関する思想から絵画、映画、文学で表現された動物たちまでを検証して、人間中心主義からの軽やかな脱却を説く。「生き物はすべての眼で開かれた世界を見ている」というリルケの詩句から、動物のまなざしのもとで発揮されるその思考性が十全に肯定される。
ブックキュレーター
哲学読書室知の更新へと向かう終わりなき対話のための、人文書編集者と若手研究者の連携による開放アカウント。コーディネーターは小林浩(月曜社取締役)が務めます。アイコンはエティエンヌ・ルイ・ブレ(1728-1799)による有名な「ニュートン記念堂」より。
ブックツリーとは?
ブックツリーは、本に精通したブックキュレーターが独自のテーマで集めた数千の本を、あなたの"関心・興味"や"気分"に沿って紹介するサービスです。
会員登録を行い、丸善・ジュンク堂・文教堂を含む提携書店やhontoでの購入、ほしい本・Myブックツリーに追加等を行うことで、思いがけない本が次々と提案されます。
Facebook、Twitterから人気・話題のブックツリーをチェックしませんか?
テーマ募集中!
こんなテーマでブックツリーを作ってほしいというあなたのリクエストを募集中です。あなたのリクエスト通りのブックツリーが現れるかも?
テーマ応募フォーム
こんなテーマでブックツリーを作ってほしいというあなたのリクエストを入力してください。
ご応募ありがとうございました。
このテーマにおける、あなたの”6冊目の本”は?
※投稿された内容は、このページの「みんなのコメント」に掲載されます。
コメントを入力するにはログインが必要です