ラジオな小説

地元のちいさなラジオ局でパーソナリティをつとめる女子高生の物語。ラストに主人公の華菜がおかしてしまう失敗が、10代のときの過ちとしてもラジオDJがすべき配慮としてもとても共感してしまうものでみぞおちにツーンときました。

ハガキ職人やリスナー側の熱量を描いたラジオ小説。深夜ラジオは夜を照らす灯となって、暗闇からたくさんの「ひとり」を集め、目に見えない共同体をつくる。くじけても、照れても、違和感があっても、それでも誰かと関わることをあきらめない。そんな、あたたかい青春小説でもあります。

ラジオの深夜番組に「この放送が終わったら自殺します」というメールが届いた。ひねくれもののパーソナリティ、訳ありのディレクター率いる番組チームがとった行動とは？放送が終わるまでの数時間をつぶさに描く、手に汗握る一冊です。ドラマ「24」みたいなリアルタイム感。

若手アナウンサーが聴取率の低い深夜枠を任され、投稿をハガキでのみ受け付ける昭和ライクな番組を立ち上げる。一緒に制作チームのメンバーになった気分で新番組立ち上げの高揚感を味わえます。ラジオの心ってなんなのか、じんわり感じることができる小説。

ラジオに耳を傾けるように、死者の声に耳を傾けることはできるのでしょうか。本を開いて頭の中にラジオが流れてきたなら、この想像力をもうちょっと信じてみたい。ラジオ・小説という想像力の媒体を通して、生と死のあわいをめぐる魂の小説。