ジメジメする日に読みたい。雨が降っても爽やかなストーリー

雨上がりに現れる虹は、その美しさと儚さで多くの人を魅了しています。収録作「藪の中」では、雨の日に撮影された大学生の自主制作映画について、複数人の主観的なインタビューを通して語られます。出演者たち、そして監督、それぞれが込める「雨」への思いとは？名著5編を森見登美彦が現代風にアレンジした短編集です。

離島から上京してきた少年・帆高は、晴れを呼ぶ力を持つ陽菜と出会います。雨天が続く東京での日々を過ごすなかで信頼を築いていく2人ですが、世界と関係ができるにつれ、彼らを暗雲が包み始めます。2人が最後に守りたかったものとは・・・。同名映画よりも細かいセリフが楽しめ、小説ならではの表現が満載された一冊です。

少女アンナは、自然豊かな海辺の村へ療養のため疎開することになりました。周囲に溶け込めず疎外感を覚えるアンナでしたが、ある日独特の雰囲気を持つ少女マーニーと出会います。雨の降る砂浜を歩きながら、アンナが見いだす「自分」に共感できる人も多いことでしょう。少女の友情と変貌を描いたお話です。

「彼」の仕事の日は、いつも雨が降る。雨男・千葉の正体とは、割り当てられた人の死を決定する「死神」でした。人ならざる千葉から見た人間の錯綜はどこか滑稽であり、情緒に満ちています。雨の日には雨音をBGMに、あなたも人間の世界を観察してみませんか？奇妙な縁の繋がりに、爽やかな気持ちになること間違いなしです。

合言葉は『あらしのよるに』。嵐の夜、お互いの姿を見ることなく心を通わせたヤギのメイとオオカミのガブでしたが、密会の甲斐なく、お互いの群れに秘密がバレてしまいます。2匹の下した決断に、嵐よりも激しい涙を流してしまうかもしれません。