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幻想と歴史が奏でるウィーンの地へ誘われる本
ウィーンは中央ヨーロッパの国・オーストリア共和国の首都。中世にハプスブルク家の都となって以来、欧州の学問、芸術の中心地でありました。歴史の旋風に翻弄されながらも、夢幻の美が幾重にも積み重なったこの街で、多くの文学者がインスピレーションを得ています。ウィーンゆかりの作家の本で、幻想と歴史の世界への旅に出ましょう。
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夢小説・闇への逃走 他一篇
シュニッツラー 池内 紀 武村 知子訳
「夢小説」は、世紀末ウィーンで子宝にも恵まれて何不自由なく暮らす中流家庭の夫婦の危機を描いた中編小説です。仮面舞踏会でのたわむれの翌日、隠れた願望に覚醒した妻からの告白に衝撃を受けて夜の街をさまよう夫の心理が、冷徹な筆致で分析されます。幻想と現実の境界が徐々に消えていく雰囲気の描写は秀逸です。
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ラデツキー行進曲
ヨーゼフ・ロート(著) , 平田 達治(訳)
第1次世界大戦勃発直前のオーストリア。人妻との情事が発端となって没落の道を歩む青年将校の運命と並行して、ハプスブルク帝国の衰亡が描かれます。オペラ座での青年将校と人妻の密会やシェーンブルン宮殿での皇帝の臨終など、ウィーンの歴史的建物が形成する重厚な世界観を背景にした傑作長編です。
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昨日の世界 1
シュテファン・ツヴァイク(著) , 原田 義人(訳)
第2次世界大戦直前のオーストリアを代表するユダヤ系作家ツヴァイクが、亡命先で鬱に苦しみながら綴った自伝的エッセイです。少年時代を過ごした19世紀末ウィーンの回想に始まって、ヨーロッパのさまざまな文化人との交流や戦間期に急激に変化していくオーストリア社会の雰囲気が、ノスタルジックな思いを込めて語られます。
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熊を放つ 上
ジョン・アーヴィング(著) , 村上 春樹(訳)
ヨーロッパで学生運動が激しくなりつつあった1967年6月のウィーンと、その周辺を舞台にした青春小説。オートバイを通じて知り合った2人の学生が動物園の動物を街に解き放つという奇抜な計画を実行に移す顛末を、コミカルかつシリアスに描いた躍動的な長編です。ナチの歴史もからむ重層的な物語に思わず引き込まれてしまいます。
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古典絵画の巨匠たち
トーマス・ベルンハルト(著) , 山本 浩司(訳)
1980年代のウィーン、80代の音楽批評家レーガーの日課は美術史美術館で思索に耽った後、アンバサダーホテルで食事をすること。そこで語られる美術、音楽、文学に通じた老知識人の遠慮ない意見が、一切改行のない独自の文体で披露されます。辛辣な批評の根底にいったい何が隠されているのか、最後まで興味がつきません。
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