ブックキュレーター文藝春秋翻訳出版部 衣川理花
“ひどい扱い”に負けなかった、天才たちの物語
自分の存在が脅かされたり、危機的状況に直面したときに、クリエイティビティを発揮する──そんなタイプの天才になぜか惹かれます。先天的なセンスに加えて、圧倒的な努力を怠らない。どこか弱さも抱えながらも、戦い続ける。凡人の私からは想像もつかない大変そうな人生ですが、悲惨な状況でもユーモアを忘れなかったりするところも好きです。
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ドラゴンのタトゥー、映像記憶能力、そして凄すぎるハッキング技術。自身も壮絶な過去を持ちながら、被害者である運命を拒み、その特殊能力を生かして、女性へ対する暴力と闘う自由で勇敢な主人公・リスベット。作者はスウェーデンではガチなジャーナリストで、彼自身、差別的で暴力的な組織から脅迫を受けていたそう。
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「歯をくいしばって、白人連中に好きなようにコピーさせてやり、おまけに彼らが大いに稼いで栄誉を受けているあいだ、痛みに耐えろってわけだ」。絶望や疲労から麻薬に溺れ、6年近く廃人同然になった。だがコールドターキーを克服して見事復帰。訳者の方いわく、エリート黒人ならではの複雑な自意識も、じつはあったそう。
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「永遠の処女」として映画史に輝く原節子。しかし彼女自身は、小津安二郎監督が描く女性像が、じつは好きではなかった。著者は、くわえタバコで虚無的な表情の秘蔵写真をたまたま目にし、その生涯に興味を持ったという。戦争、家庭環境、悲恋・・・膨大な資料や証言とともに、知られざる過酷な人生が明らかにされてゆく。
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科学者であり、軍事顧問であり、舞台演出家だった。光学、幾何学、解剖学など多くのジャンルに興味を持った。逆に言うと、気が散りやすかった。作品を完成させられないクセがあり、自分を責めて心の闇に落ちたりも。けれども、点と点が結ばれて線となるかのように、彼の半生のすべてが「モナ・リザ」の創造へと繋がった。
ブックキュレーター
文藝春秋翻訳出版部 衣川理花書籍編集者。文藝春秋へ入社後、週刊文春編集部、CREA編集部、Number編集部などを経て、出版部へ異動。担当書籍に『レオナルド・ダ・ヴィンチ』『人口で語る世界史』『AI経営で会社は甦る』『上野千鶴子のサバイバル語録』『完全なるチェス 天才ボビー・フィッシャーの生涯』など。仕事では教養書や翻訳書を中心とする「ノンフィクション(=「春秋」)」が圧倒的に多く、休日に「フィクション(=「文藝」)」を読むのがもっぱらの癒しタイム。
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