ブックキュレーター花まる学習会 平沼純
冬の終わり、春の始まり
春夏秋冬、四季にはそれぞれの魅力がありますが、長い冬が終わって春が訪れる劇的な変化は非常に印象的です。そんな時期に読むのにふさわしい、5冊の児童書を選びました。季節の変化は自ずと私たちにさまざまな感情をもたらします。暖かな春の日にはこれらの本をかたわらに、さまざまな気分を味わってみてはいかがでしょうか。
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ふゆめがっしょうだん
冨成 忠夫(写真) , 茂木 透(写真) , 長 新太(文)
「みんなは/みんなは/きのめだよ。」落葉した木の枝に見られる小さな冬芽の数々は、よく見るとどれも顔に見えてきます。笑った顔や怒った顔、動物のような顔・・・。冬芽をアップでとらえた写真に温かな詩が添えられたユニークな写真集。この本を片手に、春に向けて準備をしている木たちに会いに行ってみては?
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はるがきた
ジーン・ジオン(文) , マーガレット・ブロイ・グレアム(絵) , こみや ゆう(訳)
春がなかなかやって来ず、暗く沈んだ気持ちになっている街の人たち。そんな時、一人の少年が「まってなんかいないでさ、ぼくたちでまちをはるにしようよ!」と提案。人々の手で街のいたるところに描かれていく「春」と、その後訪れる本物の「春」。『どろんこハリー』でも有名な作者による、見事な色彩感覚にあふれた一冊。
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出発進行!里山トロッコ列車 小湊鐵道沿線の旅
かこ さとし(作 絵)
房総半島の五井駅から、養老渓谷の上総(かずさ)中野駅までを結ぶ、小湊鐵道(こみなとてつどう)。それにまつわるさまざまを、地理的・歴史的観点から縦横に描いた読み応えのある一冊。菜の花やレンゲ畑のみならず、縄文遺跡、壬申の乱にまつわる伝説、『南総里見八犬伝』・・・。改めて著者の知的好奇心に圧倒されます。
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消えた子どもたちの幽霊、屋上まで伸びる無数の白い手、呪われた四号棟・・・。取り壊しが決まった桜が谷団地に語り継がれる、奇妙な話の数々。でもそこに秘められていたのは―。典型的な恐怖譚かと思いきや、失われゆくものへの郷愁が感じられる、読後感さわやかな一冊。いくつかのシーンで描かれる春の風景も印象的。
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秘密の花園
F・H・バーネット(作) , 猪熊 葉子(訳) , 堀内 誠一(画)
孤児となったわがままな少女メリーは、イギリスの田舎に住む叔父の家に引き取られます。閉ざされた秘密の庭を見つけて徐々に心を開いていくメリーは、ある夜、屋敷のどこからか響く子どもの泣き声を聞き・・・。季節が冬から春へと移り変わるとともに再生していく人の心を美しく描き、時代をこえて愛されるロングセラー。
ブックキュレーター
花まる学習会 平沼純1982年生まれ。慶応義塾大学文学部卒、同大学院社会学研究科修士課程修了。花まるグループの受験部門であるスクールFCで、国語や公立中高一貫コース授業のほか、総合的な学習の時間である「合科授業」などを担当。多数の受験生を合格へ導くとともに、豊かな物語世界の楽しさ、奥深さを味わえる授業を展開し続けている。各種メディアで紹介された『子どもを本好きにする10の秘訣』(実務教育出版)のほか、書籍、雑誌・新聞記事などを多数執筆。読書をテーマにした講演会や連続講座も精力的に行い、本を読む楽しさ、物語を味わう大切さを訴え続けている。2016年よりほぼ毎月開催している連続講座「旅する読書」は、全国から参加者が集まる人気イベント。
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