ブックキュレーター哲学読書室
紙幣の肖像に選ばれたハリエット・タブマンて誰?
ハリエット・タブマンは奴隷として生まれ、一人で逃亡した後、仲間の奴隷たちを命がけで救い出したことで知られています。文盲で持病があったのに一度も捕まらず、南北戦争ではスパイとして活躍しました。彼女の人生や時代背景について知るための、いま購入可能な五冊を選んでみました。【選者:篠森ゆりこ(しのもり・ゆりこ:1967-:翻訳家)】
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ドル紙幣の肖像に投票で選ばれ、伝記映画も作られたタブマン。なぜこうも人気があるのか、本書を読めばわかります。語りの才能があった彼女は講演を通じて寄付を募り、貧しい人々を支援し続けました。本書には、記録に残っている彼女の言葉が数多く紹介されています。巻末には秘密組織「地下鉄道」に関する詳しい説明も。
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奴隷売買によって、黒人の家族は離散を余儀なくされました。奴隷制が廃止されて自由になったとき黒人たちが真っ先に望んだこと、それは強制的に引き離された家族を捜し出して再会することだったそうです。本書には、息子を売り飛ばされて気がふれてしまった母親など、具体的な事例や証言が数多く取り上げられています。
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旧約聖書の「出エジプト記」は奴隷たちにとって希望の物語でした。アメリカ黒人の歴史を理解するうえでキリスト教ははずせない要素です。でもアメリカ黒人とキリスト教の関係にテーマをしぼった日本語の書籍を探したら、これしか発見できませんでした。貴重な一冊です。ヒップホップの分析に一章まるごと割かれています。
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アメリカ史で活躍した黒人女性が数多く紹介されています。タブマンはもちろん、彼女と同時代を生きた女性たちの経歴を通じて、時代の空気も伝わってきます。黒人女性は、人種差別と男女差別という二重の差別と闘わねばなりませんでした。闘う女性たちのさまざまな人生を知ることができ、楽しく読める一冊です。
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南北戦争でタブマンはスパイ活動だけでなく、戦場の看護師としての役割も果たしました。この戦争では多くの戦死者が出ましたが、本書によれば、北軍の黒人部隊は「ほとんど例外なく埋葬や再埋葬の不快な仕事を割り当てられて」いたそうです。北軍の内部にも人種差別があったのです。南北戦争の裏話が詰まった興味深い一冊。
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哲学読書室知の更新へと向かう終わりなき対話のための、人文書編集者と若手研究者の連携による開放アカウント。コーディネーターは小林浩(月曜社取締役)が務めます。アイコンはエティエンヌ・ルイ・ブレ(1728-1799)による有名な「ニュートン記念堂」より。
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