ブックキュレーターhonto編集員
文学のイメージが変わる!?奇抜な発想から生まれた前衛小説
まだ見ぬスタイルを確立することは、表現者にとっての永遠のテーマといえるでしょう。世界の作家たちは長年にわたる試行錯誤を重ね、読者の意表を突く前衛的な小説技法を生み出してきました。豊かな知性と遊び心を感じさせ、私たちに新鮮な驚きをもたらしてくれる選りすぐりの前衛小説を紹介します。
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古代の遊牧民族「ハザール」の歴史を、事典形式で物語化した奇書です。ハザール族に関する物語が45項目に分類されていて、気になる項目から読むことも、最初から読み通すこともできます。本書には男性版・女性版があり、その違いはなんとたった10行のみ（※紙の本での比較）。あなたはどちらのバージョンを選びますか？
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エウロペアナ 二〇世紀史概説
パトリク・オウジェドニーク（著） , 阿部 賢一（訳） , 篠原 琢（訳）
20世紀ヨーロッパの出来事を分解し、66の段落でコラージュした変則的な歴史小説です。「ジェノサイド」「宗教」など20世紀を象徴するテーマが、「バービー人形」や「マスタード」などの身近なトピックと結びつけながら語られていきます。皮肉や笑いとともに歴史の不条理をあぶり出す語り口に、驚嘆必至です。
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中二階
ニコルソン・ベイカー（著） , 岸本 佐知子（訳）
極小（ナノ）文学と喩えられるニコルソン・ベイカーの処女作。昼休みに靴紐を新調し、中二階のオフィスに戻っていく会社員の脳裏をよぎる事柄を「超微視的」に描いています。ホチキスや耳栓といった日用品に関する考察が、脱線に脱線を重ねながら複雑化し、膨大な注釈となってページを埋めていくさまは壮観です。
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裸のランチ
Ｗ．バロウズ（著） , 鮎川 信夫（訳）
1960年前後に流行した文学運動「ビート・ジェネレーション」を象徴する怪作。 バロウズがウィリアム・リーの目線で、麻薬中毒患者たちの異様な日常を超現実的に描写しています。既存の文章を切り刻みランダムに再構成する小説技法「カットアップ」と、バロウズの倒錯表現が奇跡的な相乗効果をもたらす一冊です。
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石蹴り遊び
フリオ・コルタサル（著） , 土岐 恒二（訳）
読者に2種類の読み方を求める、フリオ・コルタサルの問題作です。56章の物語として読むのが、最初の読み方。73章から指定表に従うのが、次の読み方。57章以降は、各章とリンクすることを想定した断片的な話が続きます。章を組み替えることで別の読み方を可能にする、読書の既成概念を破る超実験小説です。
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