ブックキュレーター花まる学習会 平沼純
きっと近くにいる、不思議な「ともだち」
「子どものころは、自分もたしかにこんな存在と出会っていた!」いつまでも会えるわけではないかもしれない、でもきっと今でも近くにいる―。そんな不思議な「ともだち」を魅力的に描いた5冊の絵本を紹介します。彼らと交感した思い出は、壁にぶつかった時に、人生の岐路に立った時に、きっと自分をさり気なく支えてくれるはず。
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ラチとらいおん
マレーク・ベロニカ(ぶん・え) , とくなが やすもと(やく)
世界一弱虫なラチは、「らいおんがいたら何も怖くないのに」と思います。すると突然小さな赤いらいおんが現れ、「強くなりたいなら、ぼくが強くしてやるよ」と、ラチが強くなる訓練を始めます。「自分を支えてくれる何か」を描いた、ハンガリー発のロングセラー絵本。誰の心にもある「一歩踏み出す力」が呼び起こされます。
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めっきらもっきらどおんどん
長谷川 摂子(作) , ふりや なな(画)
遊び友だちを探して神社までやってきたかんたは、大声ででたらめな歌を歌い、ご神木の穴に吸い込まれます。そこで出会ったへんてこなおばけ3人組とかんたはさまざまな遊びをしますが・・・。「向こう側」の世界が日常と地続きであることが実感できる物語。子ども時代は、誰しもここで描かれる世界は「現実」だったのでは?
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くろいの
田中清代(著・イラスト)
一人ぼっちの帰り道で女の子が見つけた「くろいの」―全身真っ黒で大きな目、なぜか大人には見えない謎めいた存在。「くろいの」って何?なぜこの女の子にだけ見えるの?読むとさまざまな問いが出てくる、でも不思議な安らぎと懐かしさも感じさせる物語。終盤に描かれる屋根裏部屋の幻想的な光景は息をのむ美しさです。
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エリック
ショーン・タン(著) , 岸本 佐知子(訳)
ぼくの家にやってきた留学生の「エリック」。控えめで勉強家、でも「ちょっと変わった」エリックと過ごす日々。そして別れの日、彼がぼくたちに残してくれたものとは・・・?『アライバル』などで世界的に有名な作者による、「自分とは異なる存在」との心温まる交感を描いた、手のひらサイズのチャーミングな絵本。
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さくらの谷
富安陽子(著) , 松成真理子(イラスト)
ひとり山を歩く私がたどり着いた、桜の花にうもれた不思議な谷。そこで見たのは、楽しそうに花見をする鬼たちと、もう会えないと思っていたなつかしい人たち。「そうか、みんなここにいたのか―。」作者がご自身のお父様との別れの日に見たという、不思議な夢から生まれた物語。魂が集う桜の谷の情景が、どこまでも温かい。
ブックキュレーター
花まる学習会 平沼純1982年生まれ。慶応義塾大学文学部卒、同大学院社会学研究科修士課程修了。花まるグループの受験部門であるスクールFCで、国語や公立中高一貫コース授業のほか、総合的な学習の時間である「合科授業」などを担当。多数の受験生を合格へ導くとともに、豊かな物語世界の楽しさ、奥深さを味わえる授業を展開し続けている。各種メディアで紹介された『子どもを本好きにする10の秘訣』(実務教育出版)のほか、書籍、雑誌・新聞記事などを多数執筆。読書をテーマにした講演会や連続講座も精力的に行い、本を読む楽しさ、物語を味わう大切さを訴え続けている。2016年よりほぼ毎月開催している連続講座「旅する読書」は、全国から参加者が集まる人気イベント。
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