摩訶不思議な設定とロジカルさが融合したミステリー！はじめての西澤保彦

西澤保彦の代名詞ともいえるSF設定の本格ミステリー、その代表作の一つです。同じ日が繰り返される「反復落とし穴」と呼ばれるタイムループにはまった少年が、時間が戻るたびに殺されてしまう祖父を救うために奮闘します。軽い作風ながら、SFミステリーの醍醐味を堪能できる傑作です。

『七回死んだ男』と並ぶ、西澤保彦の代表格がこちら。人格が交換されてしまうという実験施設に閉じ込められた6人が、順ぐりに別人格になるなかで発生する殺人事件。いったい誰が、何の目的で凶行に及んだのか？という謎をロジカルに解き明かしていきます。複雑な設定ですが読みやすい、ミステリー初心者にオススメの一冊です。

怪獣、宇宙人、幽霊などが登場する、いわゆる「バカミス」に分類される短編集。肩の力を抜いて気軽に読めますが、ハチャメチャな設定でもきっちりミステリーに仕上げるあたりはさすがのひと言。最初はそのゆるさ加減に眉をひそめてしまうかもしれませんが、次第に楽しく思えてくる、そんな不思議な魅力にあふれた一冊です。

「腕貫（うでぬき）」とは肘から手首辺りまでを覆う筒状の布のこと。その腕貫を付けた市役所市民サーヴィス課の男性が安楽椅子探偵となって、市民から寄せられたさまざまな謎、相談に答えていく連作短編集です。探偵自身にはほとんど触れられず、謎の存在となっているのも魅力の人気シリーズです。

著者のデビュー作であり、「探偵・匠千暁シリーズ」の第1弾でもある短編集。タイトルの通り、収録エピソードはすべて解体・バラバラ殺人をテーマにしていて、「なぜ死体を解体しなければならなかったのか？」という理由に重きを置いています。ぬいぐるみや写真の解体話もあり、読後感が重すぎない点も特徴の一つ。