生きることと死ぬこと。生命科学や哲学、思想で心静かに向き合うための本

地球に生命が誕生してから38億年。いくつもの生物が生まれては消えていきました。しかも、7割以上の生物が消えてしまう大絶滅も過去に5回もありました。しかし、古い生物が滅んだおかげで新しい生物が誕生し、繁栄することができたといいます。死と再生を繰り返し、多様性を獲得する生命の力強いメカニズムに迫ります。

昆虫から魚類、哺乳類にいたるまで、生き物の死にざまを綴ったエッセイです。自らの体を生まれた子どもに与えるハサミムシ。故郷の川を遡上し、産卵後に力尽きるサケ。シマウマはライオンなどの肉食獣に襲われ、そのライオンも狩りができなくなればほかの動物の餌食に。淡々と語られる動物たちの最後が胸を打ちます。

人生100年時代に突入したとはいえ、いつか死はやってくるもの。先人が死をどのように捉え、向き合い、表現してきたかを、文学や哲学などさまざまな参考書を挙げながら語ります。死を直視することで先賢の生きざまが浮き彫りになり、紹介された本を読むことで、さらに深く死と人生を見つめることができるでしょう。

キリスト教やイスラム教といった一神教をはじめ、インド哲学、中国の儒教、日本の仏教など、さまざまな死生観を簡潔にわかりやすく解説します。その上で、特定の思想にこだわらず、自分流の死生観を選ぶことを勧めます。自分の死に方を決めることで、死を前向きにとらえ、充実した人生を送ることができると説いています。

「知の巨人」と呼ばれる著者が、東京大学で行った「人間の現在」という講義をまとめたものです。人間の営みすべてを進化として捉え、科学、哲学、宗教などあらゆる知識を駆使して人類の未来を考察します。超人類の出現、地球の死とその先にあるものなど、著者の知見が凝縮され、生と死を巨視的に考えるのに役立ちます。