ブックキュレーター甲南大学文学部教授・学生相談室専任カウンセラー 高石恭子
子育てがつらい、と思ったときに目からウロコを落とす本
少子化対策は誰のため? 女も外で働けというけれど、母になったら子どもと一緒にいろと言われる社会って何? 子育てがつらくなったとき、ただ前向きになろうと頑張るのは逆効果です。思い込みを捨て、「見方」を変えることによって、心が落ち着き、自分らしさを取り戻せる本を紹介します。文化・思想家の大著から心理学者の泣ける子育て体験記まで。
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子どもが忌避される時代 なぜ子どもは生まれにくくなったのか
本田 和子(著)
お茶の水女子大学学長でもあった子ども学第一人者の著者が、文化史、思想史、心理学、メディア論など膨大な文献を読み解き、たった100年の間にどのように日本が「子どもに優しい国」から「子ども嫌いの国」になったかを明晰に描く。そりゃあ、小手先の対策なんかで子どもを育てたくなるはずがない!と納得させられる。
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科学で証明された子育ての正解=常識も、違う証拠が出ればいつでもひっくり返る程度のものにすぎません。アカデミズムから距離を置く心理学者が、「親の育て方が子どもの育ちに及ぼせる影響がいかに少ないか」を諸研究のエビデンスから明らかにした本書は、科学という名の母性愛神話の罠にはまった女性の気付け薬です。
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まだスマホもネットもない1990年代。子育ての教科書や参考書を読めば読むほど自分のダメさ加減に不安と劣等感が募る私の救世主となったのが、同世代の漫画家が痛快に描く子育てのリアルでした。子育て漫画の凄さは、アンビバレントな母親の心情を画と文字を用いて同時に描けること。なかでも本シリーズは秀逸です。
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少子化対策、母乳育児推進などが国家行政のレベルで花開いた時代に、母親になった漫画家が子育てで体験する自分のありのままの感情を直視し、正面から向き合い続けた長編。嫌いでも苦手でも、誠実にいのちを育てる生き方がこんなふうにできるんだと勇気づけてくれる。
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臨床心理学者が母親になったとき、初めてわかった常識の呪縛の恐ろしさ。どんなにつらくても、どんなに楽しくても、子育てには終わりがある。そんなことさえ忘れていませんか? 想像のわが子と出会い、現実のわが子の背中を見送るまでの著者の主観的体験を、別れと解放への道のりとして描いています。
ブックキュレーター
甲南大学文学部教授・学生相談室専任カウンセラー 高石恭子甲南大学文学部教授、学生相談室専任カウンセラー。専門は臨床心理学。乳幼児期から青年期の親子関係の研究や、子育て支援の研究を行う。著書に『臨床心理士の子育て相談』(人文書院、2010年)、『自我体験とは何か』(創元社、2020年)、編著に『子別れのための子育て』(平凡社、2012年)、『学生相談と発達障害』(学苑社、2012年)、『働くママと子どもの〈ほどよい距離〉のとり方』(柘植書房新社、2016年)などがある。
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