読後感がクセになる、センチメンタルな気分になれるおすすめ小説

人々が宇宙開発への情熱を失った未来。星への思いを捨てきれない元宇宙飛行士のアンドルーズは木星行きのロケット打ち上げを推進する女性上院議員候補の存在を知り、かつて絶たれた宇宙への夢を再び追い始めるのですが・・・夢を諦めない主人公の切なく美しい結末に心揺さぶられる一冊です。

1991年4月の雨の日、藤柴高校3年の守屋路行はユーゴスラビアから来た少女・マーヤと出会う。次第に親交を深めていく2人ですが、マーヤの故郷では激しい民族紛争が勃発していて・・・相手を大切に思いながらも抱える痛みを本当の意味で共有することは出来ない絶対的な文化の壁。そのやるせなさや虚無感が心に響きます。

異星人の独特な思考方法を会得していく内に、やがて自身の人生の結末を自覚できるようになった言語学者の物語。決して避けられない自身の運命を悟った上で、それでもそこへ向かって生きていこうとする主人公の姿に感動します。

ボクサー志望の主人公とその周囲の人々の何でもない日常がドラマチックにかつ淡々と綴られている一冊。お互いに気持ちを通わせることができない登場人物たちの孤独感、何者にもなりきれない空虚な気持ちに引き込まれてしまいます。

中国人の母とアメリカ人の息子の物語。母が紙で折る虎や水牛は命を与えられ、まるで魔法のように生き生きと動き回っていました。幼い主人公はそれらと楽しく遊びますが、成長するにつれ中国人である母を疎ましく感じるようになります。親子のすれ違いやその要因である文化の壁が巧みに描かれていて切なくなる一冊です。