ブックキュレーターhonto編集員
自己探求する実験的な物語。「文学」をテーマにした文学
文学は主に架空の登場人物を描いてきましたが、豊かな実験精神を持つ作家のなかには既成の枠組みに満足できず、「文学」そのものを題材にメタフィクショナルな手法を取り入れる冒険者も存在します。表現者と批評家の視点を結びつける斬新な試みは、どんな奇抜な物語を生み出したのでしょう。ここにその一部を厳選して紹介します。
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アゼルバイジャンの小説家アブドゥッラの長編小説。中世アナトリア語の民族叙事詩を素材にした歴史物語で、古文書館で発見された写本を読むという入れ子構造で書かれています。審問を筆記する速記者にしてシャーマンのデデ・コルクトと、審問を受けるハーンの経緯が交わる構成が見事で、スリリングな展開を味わえます。
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チリの小説家ボラーニョが、架空の作家や小説を事典形式で紹介。30名を数える登場人数は、ファシズムや神秘主義を奉ずる極右的思想の持ち主ばかり。アメリカ大陸とナチスの融和を図るという野心的なテーマに挑戦しています。その精妙巧緻な設定と文体に、現実の文学史を読んでいる錯覚に陥ることでしょう。
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文才に恵まれながらも、厳格な文学的意識に束縛されて執筆できなくなってしまった古今東西の文豪たち。語り手はその状態をメルヴィルの小説の登場人物にたとえて「バートルビー症候群」と命名。ソクラテスをはじめとする偉人たちの逸話を紹介します。スペインの小説家が生み出した、どこまで虚構かわからなくなる幻惑的な実験作です。
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