ブックキュレーター主婦の友社 石井美奈子
「がん」とのそれぞれの闘い方を教えてくれる5冊
2人に1人ががんになると言われているが、がんを宣告された本人、家族が背負っていくものの大きさははかり知れない。大きな書店に行くと、がんの本はたくさんあって、選ぶのにちょっと困るほどだ。その中から、読みやすいもの、闘病の様子がありのままに書かれているもの、少し読むのに労力が必要だが新しい知見を得られるものを選んだ。
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夫婦漫才の宮川花子さんは多発性骨髄腫という血液のがん。突然の余命半年宣告、緊急入院、退院後の病状や気持ちが、ここまで書いていいのかというほど率直につづられている。闘病は周りの人がしてくれていて、自分はそれに乗っているだけなど、周囲への深い感謝の気持ちや力強い言葉に胸打たれる。装画は花子さんが描いた。
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川島さんは腎臓がん。がんがわかったのは2014年でプロポーズ前夜。仕事仲間に事実を伝えるべきなのか、告知された絶望は誰まで伝えていいのか、セカンドオピニオンはどうするか、リハビリのつらさをどう乗り越えるのか、お金の心配は? など、実体験にもとづいた川島さんのアドバイスが参考になる、明るい闘病記だ。
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大橋さんは消化管間質腫瘍という10万人に1人の希少がんだ。そして終末期のがん患者のホスピス緩和ケア医。多くの患者をみてきたからといって、周りの人にも迷惑をかけず、ジタバタせずに落ち着いて病と向き合うことなんて無理だと素直に書いている。余命ではなく、今日から過ごせた日を数えていく考え方に変えたそうだ。
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ぼくとがんの7年
松永 正訓(著)
松永さんは膀胱がんで2度の再発。彼も2000人以上の小児がんをみてきた医師だ。病状や治療方法や薬の知識があるだけに、異変を感じ、担当医の方針にも疑いを持つ。そしていつも不安で体調の変化を恐れ、将来を悲観している。検査や治療、心の動きの描写に詳しい。医者も病の前では同じ人間なんだなというところに共感。
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がんとは何かという研究がいま盛んであり、この本では以下の3つの内容がわかる。1.がんとは何物で、なぜ、どのように体内に発生するのか、2.がんが生物進化の段階で淘汰されなかったのはなぜか、3.新しい治療法としての「適応療法」。専門用語は流し読みでもOKだ。がんをコントロールしながら共生するという結論である。
ブックキュレーター
主婦の友社 石井美奈子主婦の友社(http://www.shufunotomo.co.jp/)で編集の仕事をしています。根っからの本好き、そして、本屋さんが好きで、この業界に飛び込みました。好きな旅・食についてや、女性の視点での健康や老後について本を広く紹介していきます。
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