文字からほとばしるスクリーンへの情熱！映画づくりを描いたフィクション

戦後のハリウッドと現代のロンドン。時代と国は違うものの、同じ映画界で奮闘する2人の女性を主人公にした物語。特殊造形とCG、切っても切り離せぬ二つの技術を軸に彼女たちの人生は交錯し、驚くべき結末を迎えます。映画という夢を支える科学技術や、男性優位の業界での女性クリエイターの存在についても考えさせられる一冊です。

日本が世界に誇るアニメーション文化。その業界を舞台に、才能あふれる登場人物たちが情熱を燃やしながら、自身の責務に邁進するさまを描いたお仕事小説です。過酷な労働環境に偏見、業界人同士の衝突・駆け引きなど、さまざまな困難もリアルに描写されています。本書で描かれるのはテレビアニメですが、アニメ映画にも通じる情熱を感じられるはずです。

今や誰もが簡単に映画監督になれる時代。そのなかで映画制作の「スター」になる方法も多様化しています。受賞歴や興行収入、動画サイトやSNSでのヒット、作品の質と量、評価。そうした映画界の価値観の渦に葛藤しながら、2人の青年監督はどのように夢を追いかけていくのか？映画監督に興味のある方、必読の一冊です。

原田マハの小説『キネマの神様』は実写映画化の際、山田洋次監督の手で大きく脚色されました。そんな映画版のシナリオをもとにノベライズされたのが本書です。原作・実写・ノベライズが呼応し合って辿り着いた、映画への愛の物語。著者と山田監督が記したまえがき・あとがきも含めて、映画好きなら最後まで興味深く読むことができるでしょう。

65歳の主人公・うみ子は、亡き夫との思い出とともに数十年ぶりの映画鑑賞へ。しかし、そこで彼女を待っていたのは映像系美大生・カイとの出会い。そして、「映画をつくる側にいく」という夢の発見でした。人生のエンドロールを前に新たな挑戦を始めたうみ子の姿から勇気をもらえるマンガで、波を使った感情描写も秀逸です。