ブックキュレーター酒井啓子
酒井啓子の推薦する名著5冊
酒井啓子の「推薦図書」はこの5冊! ※こちらの推薦文は、クーリエ・ジャポン読者のために寄稿いただいたものを転載したものです。
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中東で事件が起きるたび「イスラームってどんな宗教?」と問われがちですが、絶対的で普遍な「イスラーム」の存在に着目するのではなく、イスラーム教徒がそれぞれ「イスラームって何」と模索している、それが多様な「イスラーム的な」思考と行動を生み出していることを見ることが重要だと論じます。フィールド調査から得られた文化人類学者の鋭い視点。
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こちらも、「イスラーム世界、なんてつい言っちゃうけど、そんなものは本当にあるの?」という自問から始まります。グローバル・ヒストリー研究の第一人者が、日本独特のイスラーム世界観の問題点を歴史を紐解いて論じますが、こうした空間措定が9.11の「自由で民主的な我々」対「テロリスト」という、二項対立的な考えにつながる危険性を指摘します。
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中東のさまざまな問題の底流にあるのが、イスラエル・パレスチナ問題。一千年以上続く宗教対立のように理解されがちですが、世界史を紐解いてパレスチナ問題がいかにヨーロッパ近現代史の「つけ」として発生したか、パレスチナ問題と一見関係なさそうにみえる9.11やイラク戦争も、パレスチナ問題と密接にかかわっている、と指摘します。
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日本が原油輸入の9割近くを依存している中東の産油国。サウジアラビアなど、ペルシア湾岸のアラブ諸国のほとんどが君主制で民主化とは程遠く、中東の中でも特に「異常」に見えます。富裕で宗教的に保守的な国民と、その何倍もの外国人の低賃金労働者が併存する湾岸の王朝が、なぜ倒れないのかを解き明かし、これこそグローバル化のひとつだと論じます。
ブックキュレーター
酒井啓子国際政治学者。千葉大学グローバル関係融合研究センター長。東京大学教養学部教養学科(国際関係論)を卒業後、アジア経済研究所に勤務。24年間の同研究所在任中に、英国ダーラム大学(中東イスラーム研究センター)で修士号、その後、京都大学で博士号(地域研究)を取得。1986~89年、在イラク日本大使館に専門調査員として出向。東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授を経て、現職。専攻はイラク政治史、現代中東政治。著書多数。
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