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植民地主義の歴史に迫り、壮大な物語に換えた小説
世界史を知るうえで植民地問題は避けて通れません。第二次世界大戦以降には各地で脱植民地化が進みましたが、今でも海外領土として特定の国家の影響下にある地域はたくさん存在します。文学の世界でも植民地主義は重要なテーマとして取り上げられてきました。ここでは、そうした植民地問題に迫る優れた小説を紹介します。
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20世紀初頭、アイルランド独立運動を起こした大英帝国の外交官ロジャー・ケイスメント。英国領事として赴任したコンゴとアマゾンで先住民に対する虐待を告発した彼は、祖国独立の夢を抱いて第一次世界大戦中ドイツに接近するも、反逆罪で逮捕されてしまいます。独房で死刑判決を待つ扇動者の生涯を綴った、壮大な歴史小説です。
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ダスクランズ
J.M.クッツェー(著) , くぼた のぞみ(訳)
著者は南アフリカ出身の小説家であり、のちのノーベル賞作家による鮮烈なデビュー作です。物語の前半部ではヴェトナム戦争のプロパガンダに没入する青年の葛藤を、後半部では18世紀の南西アフリカにおける先住民と植民者の衝突を描写。狂気と妄想に取り憑かれ、戦争・侵略を神話化する人間の精神を巧みにえぐり出しています。
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闇の河
ケイト・グレンヴィル(著) , 一谷 智子(訳)
ロンドンでの貧困生活の末に窃盗に手を染め、植民地であるオーストラリアに移住させられた流刑囚家族の物語です。彼は未開地と思われていた流刑先を開拓し、自らの土地を獲得していきますが、同時に入植者として先住民の怒りに触れることに。異文化との衝突と和解を描き出すことで建国神話の暗部を照らした大作です。
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