クタクタの毎日に元気をチャージ！明日もがんばりたくなる女性作家の小説

釜ヶ崎で日雇い労働者として働く主人公のもとに「300万円で有名社長の妻の自伝を書く」という依頼が舞い込むことから始まるミステリーですが、ただの謎解きだけで終わりません。生きることとその美しさについて全力で挑んだ、不安定な人間の生き様を肯定的に描いた珠玉の一冊です。

大きな洞（うろ）のある木の生えた植物園の園長である「私」の歯痛をきっかけに、夢の世界と現実がリアルに交錯し始めます。忘れたふりをしていた過去や現実と不本意ながらも向き合って、日常生活まで再び帰って来る「私」の不思議な冒険は、思い出や感情でいっぱい。大人にこそ読んでほしいファンタジーです。

平和のシンボルとして国連本部に掲げられていた絵画、ピカソの「ゲルニカ」が消えてしまいます。その陰謀を巡ってMoMAのキュレーター・八神瑤子が、世界を駆け巡るアートサスペンスです。ピカソの時代と現代が「争い、平和への願い」などをテーマに重ねて語られ、どんなに困難を感じても想いを貫く瑤子の姿に胸が熱くなるはずです。

ダメ男に何度騙されても懲りない肉子ちゃんと、その娘・キクりんの日常を描いた小説。キクりんは肉子ちゃんや友達との関係に悩む年ごろ。カッコいい大人になりたくて葛藤し、絡まりながらも周囲を再発見していきます。号泣するというよりも、じわじわと温かいものが積もっていくような物語です。瑞々しい読後感をぜひ体験してください。

車椅子生活でほとんど外の世界と接することなく育てられた女性ジョゼと、大学生の恒夫が出会ってからの物語を含む、クセが強めの恋愛アンソロジーです。欲望に忠実なまま生を謳歌し、自分の人生を選ぶ主人公たちの姿を見ていると、さまざまな形で存在する幸せに思いを馳せることができます。自分の幸せのあり方を深く考えるきっかけになるでしょう。