ブックキュレーターhonto編集員
ボルヘスだけじゃない!大流行後に生み出された現代ラテンアメリカ文学
19世紀後期から進化を遂げ、20世紀中期には世界的流行を巻き起こしたラテンアメリカ文学。でもブームの終焉とともに文学そのものが衰退したわけではありません。大流行を支えてきた文豪の後継者たちは換骨奪胎を繰り返しながら、新たな文学様式を生み出しています。ここではそんな現代ラテンアメリカ文学を牽引する作家の小説を紹介します。
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ウルグアイの作家クリスティーナ・ペリ=ロッシの長編小説で、エックスという捉えどころのない人物の遍歴を断片的に綴りながら全体像を浮き上がらせる連作的な構成になっています。数々の断章では、政治亡命、環境汚染、精神疾患、人工妊娠中絶などの社会的諸問題に鋭く切り込み、詩的な語り口に強い思想性を匂わせています。
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エルサルバドル出身の作家オラシオ・カステジャーノス・モヤの小説。先住マヤ民族虐殺から逃れた人々の調査報告書の校閲を担当している主人公は、報告書の影響と異性関連のゴタゴタに巻き込まれるなか、徐々に強迫観念に駆られるようになっていき、やがて彼は見えざる虐殺者の影から逃げ始めることに。虐殺の脅威を緊張感ある文体で語った逸品です。
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アルゼンチンの作家セサル・アイラの小説で、長編としては短めながら代表作に数えられる怪作です。主人公は著者と同名の少女(著者は男性)。物語は修道女になった彼女の回想録という形式を取り、まずいアイスクリームを強制的に食べさせられるエピソードをはじめ、どこかグロテスクで奇妙な人間模様を描き出しているのが特徴です。
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日本人の恋びと
イサベル・アジェンデ(著),木村裕美(訳)
チリの作家イサベル・アジェンデによる長編小説。サンフランシスコ郊外の高齢者施設「ラークハウス」で働く女性と不思議な老婦人との交流を通して、太平洋戦争以来の移民・人種問題などに加え、現代社会が抱える闇を暴いていくとともに、戦争に翻弄されながらも最期まで貫かれた愛のかたちを表現します。ミステリアスで感動的な恋愛譚です。
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