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物語としておもしろく、歴史資料としても価値のある各国の伝説集
世界の伝説にはさまざまな種類があります。実在したとされる人物・事件を物語的に表現していて、その中には英雄譚や民間伝承が多く含まれています。説話の一形態である伝説の定義を決めるのは難しいことですが、いずれも歴史資料としての価値に加え、物語としてのおもしろさも見出すことができます。そうした各国の伝説をまとめた良書を紹介します。
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スペイン伝説集
グスターボ・アドルフォ・ベッケル(著) , 山田 真史(訳)
19世紀のスペイン・ロマン派を代表する詩人による伝説集です。当時のロマン主義は「伝説」を重視し、著者自身もその流行に倣いました。本書には、ヨーロッパ各地の民間伝承やスペイン特有の説話をモデルにした物語、または伝説の形式を用いたオリジナルの物語を織り交ぜた14編を収録。怪奇幻想文学としても秀逸な作品集です。
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「グリム童話集」で有名なグリム兄弟が編集した本で、ドイツにおける伝説を585編を収録しています。もともとは土地にまつわる伝説を集めた上巻と、歴史に関わる伝説を集めた下巻に分かれていましたが、完全新訳版の本書はそれらを一冊にまとめたものとなっています。膨大な伝説集に加え、詳細な注釈と折込地図も必見です。
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コスタリカ伝説集
エリアス・セレドン(編) , 山中 和樹(訳)
コスタリカの伝説を「土地の伝承」「宗教伝説」「怪異譚」の3部構成で収録しています。スペイン支配下時代、独自の文化を育んでいったコスタリカ人の豊かな発想力と宗教観が生きた不可思議な逸話の数々に、時には感動し、時には恐怖することでしょう。全体的に物語性が濃厚で、短編小説集の感覚で読める一冊です。
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チベット幻想奇譚
星 泉(編訳) , 三浦 順子(編訳) , 海老原 志穂(編訳)
現代チベット作家たちの作品群を集めた、日本オリジナルのアンソロジーです。伝統的な口承文芸のほか、宗教や民間伝承を土台とした幻想的な13編を収録。物語の要素が色濃く、人間、妖怪、神が入り交じる不思議な世界に引き込まれます。その背後からはチベットに今も息づいている宗教観・世界観をうかがうことができます。
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日本の伝説 改版
柳田 国男(著)
日本民俗学の先駆者として、たくさんの名著を発表してきた柳田國男の著作。「咳のおば様」から「伝説と児童」まで、全国各地の民間信仰の痕跡を入念な現地調査で採集し、その由来を考察することで後世に語り伝えています。流麗な語り口で蘇る伝説の数々に触れながら、当時の世界観に思いを馳せてみてはいかがでしょう。
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