悩み、恋愛、反抗！青春時代の純粋さを思い出させてくれる小説

並外れたパワフルさを持つ主人公・成瀬あかりの日常を描いた物語。番組の生中継に映り込むことを日課としたり、お笑いコンビを結成してM-1に出場したり、周りには呆れられるようなことばかりしているけど、彼女はいつも大まじめ。その真剣さがあかりの魅力であり、青春の特権なのかもしれない。そう思わせてくれる小説です。

事故で足が不自由になった主人公・恵美を中心に、少年少女の成長を描いたお話。各章で別々の人物にスポットライトが当てられ、それぞれの子どもたちの苦悩や葛藤がより身近なものとして感じられます。大人にはほんの些細な問題だと思われることでも、子どもたちは真剣に悩んでいることを痛感させられる一冊です。

時田秀美は、女性にはモテるが勉強ができない男子高校生。「勉強ができない」からといって「何も考えていない」というわけでもありません。常識にとらわれない独自の価値観を持ち、彼は自分らしく生きることに真剣です。そんな彼の純粋さに触れ、大人の読者はハッとさせられるかもしれません。

学生運動が激化する1969年。主人公のケンは、意中のマドンナを振り向かせるため仲間とともに学校をバリケード封鎖、そしてフェスティバルの開催に奔走します。遊びや恋愛をはじめ何事にも本気だったからこそ、青春はいつまでも輝かしく想起されるのかもしれません。活力に満ちた青春小説らしい一冊です。

村上春樹のデビュー作である本書は、海辺の街へと帰省した大学生の「僕」が主人公。青春を想起させる直接的な言葉こそ多用されてはいませんが、友人である「鼠」との会話や断片的なエピソードの間には、青春ならではの漠然とした焦燥や不安が見事に表現されています。ほろ苦くも爽やかな雰囲気をまとった小説です。