あらゆる要望に応える頼もしい裏方。コンシェルジュの世界を覗ける本

著者は、横浜や東京のホテルにコンシェルジュとして勤務。コンシェルジュの歴史や仕事内容、活用方法を記した一冊です。「20年前に会った人を探してほしい」といった難題に真心で向き合う姿は、ホスピタリティそのもの。「好奇心と緊張感を持って行動する」という著者の姿勢は、あらゆる仕事に通じると感じられます。

お客様は動物ばかりの「北極百貨店」で奮闘する、新人コンシェルジュが主人公のコミックです。フクロウ夫妻を接待するフェレットや恋人へのプロポーズに悩むニホンオオカミなど、個性的な動物たちが登場。お客様の目を見て気持ちを汲み取り、要望に応える主人公のひたむきさと機転から、コンシェルジュの真髄が伝わってきます。

ザ・リッツ・カールトン大阪で「伝説のコンシェルジュ」と呼ばれた著者が、おもてなしについて語っています。お客様のために飛行機の離陸を遅らせてもらうエピソードでは、著者の執念と行動力に驚かされます。『要望に応えたいと心から思わないとお客様に伝わってしまう』といった、おもてなしの心構えも学べるでしょう。

京都のホテルを舞台にした、ユーモア・ミステリーの短編集。ホテルに長逗留している名家の御曹司が持ち込む謎に、コンシェルジュの九鬼がフロント係の女性とともに挑みます。「米国大使の暗殺阻止」といった難題も、コンシェルジュらしい観察眼と鮮やかな手腕で解決。絶対「No」と言わない、九鬼のプロ意識に感服します。

東京駅「ステーションコンシェルジュ東京」の業務日誌をもとに、コンシェルジュの日常を紹介します。「わかりませんとは言いません」をモットーに、ATMの場所や人気の土産まで多様な問い合わせに対応。日誌でコンシェルジュ同士が情報共有する、普段から構内を歩いて観察するなど、どの仕事にも役立つヒントが満載です。