正義の味方か悪の手先か・・・ダークヒーローが活躍するコミック

主人公は、推理小説好きの平凡なサラリーマン・鳥栖哲雄。ひとり娘が裏社会に属する彼氏に殴られていると知り、日常が暗転します。哲雄は娘を守ろうと彼氏を殺害。推理小説の知識で死体を処理して裏社会と対峙する、ダークヒーローへの変貌ぶりに驚かされます。殺人犯になってでも家族愛を貫く哲雄のことを、応援せずにはいられません。

動画投稿サイトで犯罪予告をする4人組「シンブンシ」と警察の攻防が描かれたコミックです。彼らのターゲットは、食中毒事件を起こした食品加工会社や犯罪被害者を侮辱した学生など。私的制裁を加えるような犯行は社会現象になり、支持する風潮も生まれますが・・・。少しずつ明らかになる彼らの真の目的に、深く考えさせられます。

亡き父親の借金を背負い、悪魔を退治するハンターとしてヤクザに雇われている少年・デンジは、ヤクザに裏切られて一度は死ぬものの、「チェンソーの悪魔」として復活。今度は公安組織でハンターになります。悲惨な境遇を切り刻むように悪魔と戦い続け、ささやかな幸せを追い求めるデンジから目が離せなくなります。

表向きは古本屋を営み、裏では復讐代行を請け負うカモとトラの物語。依頼に訪れるのは、犯罪被害者や遺族たちです。読めば残忍な復讐方法に戦慄すると同時に、被害者が十分に救われない現在の社会に疑問を抱くことでしょう。「金が欲しいわけではない」と復讐の依頼を引き受け続ける、2人のつらい過去が胸に迫ってきます。

偏屈な弁護士・九条が、ヤクザや前科がある者たちの依頼を引き受けるところから物語が始まります。飲酒運転の果てのひき逃げや薬物売買で犯人の弁護を担い、世間から「悪徳弁護士」と非難されてもお構いなし。法律とモラルを分けて考えるという、九条の鮮やかな手腕に唸ります。法律の力とともに不条理も感じるはずです。