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- honto+インタビュー特集【川上未映子】おすすめの本その4
注目作家に最新作やおすすめの本などを聞く『honto+インタビュー』。不定期で随時更新予定!
もしかしたらわたし、この先あんがいひとりでも生きてゆけるかもな……と静かに興奮したときに読みたい本!
- < 川上未映子さんのおススメPOINT! >
- 女性にとっての結婚生活あれこれとか、悩みとか、対策とか、具体的な生活のあれこれを書いた2冊のエッセイもそうなんだけれど、とくに小説4冊は、こう、自分がどこでもないような場所にひとりですっと立ってる、みたいなイメージがしんしんとみなぎっているんですよね。そこでは激しい風が吹いているし、ものすごく寒いときもあるし、誰もそばにいなくてどうしようもなく孤立した場所なのに、なぜか、強い気持ちで、静かに深呼吸をくりかえしているような。素晴らしい本に出会ったとき、わたしはいつも断崖絶壁のぎりぎりのところに立っているような気持ちになります。
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家族収容所 愛がなくても妻を続けるために (河出文庫)
信田さよ子(著)
出版社:河出書房新社
夫との関係に傷つき苦しみ、絶望しても、暮らしていくために離婚できない多くの妻たち。女が強く明日を生き延びるために、家族問題でもっとも信頼厚いカウンセラーが知恵と戦略を伝える。
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おひとりさまの老後 (文春文庫)
上野千鶴子(著)
出版社:文藝春秋
結婚していようがいまいが、だれでも最後はひとり。智恵と工夫さえあれば、老後のひとり暮らしは怖くない。おひとりさまブームを巻き起こしたベストセラー。
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アサイラム・ピース
アンナ・カヴァン (著), 山田 和子 (訳)
出版社:国書刊行会
自身の入院体験にもとづく表題作はじめ、出口なしの閉塞感と絶対の孤独、謎と不条理に満ちた、作家アンナ・カヴァンの誕生を告げる最初の傑作。
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ほとんど記憶のない女 (白水Uブックス 海外小説の誘惑)
リディア・デイヴィス (著), 岸本 佐知子 (訳)
出版社:白水社
「とても鋭い知性の持ち主だが、ほとんど記憶のない女がいた」わずか数行の超短篇から私小説・旅行記まで、「アメリカ小説界の静かな巨人」による知的で奇妙な51の傑作短篇集。
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abさんご
黒田夏子(著)
出版社:文藝春秋
75歳の著者デビュー作。昭和の知的な家庭に生まれたひとりの幼子が成長し、両親を見送るまでの美しくしなやかな物語。日本語の限界に挑む超実験小説を完成させた。第148回芥川賞受賞作。
年齢も、場所も時代もちがうけど、みんな満身創痍だよな……そうだよな……ってなんかひとりじゃないよな的に激しく励まされる愛しい本!
- < 川上未映子さんのおススメPOINT! >
- この本たちもわたしにとっていわゆる「断崖絶壁本」です。「スタッキング可能」の帯文にあった、「どうかなあ、こういう戦い方は地味かなあ」の一文を見たとき思わず目頭が熱くなってそれからずっと焼きついています。メタに立って分析して怪我しないように傷つかないように生きるのもいいけれど、剥きだしの一回性と魂で、それぞれの煉獄のありさまと闘争を記録、そして物語った7冊です。フニクリフニクラ火の山へ。静かで熱狂的なすべての生活者に思わず不安になって挙動不審になるくらいの超ど級の幸あれ。
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少年アヤちゃん焦心日記
少年アヤ(著)
出版社:河出書房新社
どうして私は、王子様になれないのだろう?世界の欲望と不幸を一身に背負い、〈おかま〉として生きる少年アヤが、自分を見つめた365日。熱狂的人気を得た日記連載が、待望の書籍化。
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スタッキング可能
松田青子(著)
出版社:河出書房新社
日本社会を皮肉に照射する表題作「スタッキング可能」をはじめ、雑誌掲載時より話題の「もうすぐ結婚する女」など、たくらみに満ちた松田青子初の単行本!
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女子をこじらせて
雨宮まみ(著)
出版社:ポット出版
「女子」という生きづらさに真っ向から向き合う半生記!全国のこじらせ系女子に捧ぐ!非モテからなぜか「職業・AVライター」になった…その曲がりくねった女子人生を描く怒濤の13万字!
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オレンジだけが果物じゃない (白水Uブックス 海外小説の誘惑)
ジャネット・ウィンターソン (著)、岸本 佐知子 (訳)
出版社:白水社
狂信的なキリスト教徒の母から特殊な英才教育を受けて育ったジャネットは、幼くして説教壇に立つようになる。しかし、初めて恋を知った彼女には、恐るべき「受難」が待っていた…。
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二十歳の原点 改版 (新潮文庫)
高野悦子(著)
出版社:新潮社
二十歳と6か月で、その生涯を自ら閉じた著者が最後に過ごした半年間を克明に綴った日記。痛々しいまでの純粋さとは、普遍性を持った文学的なテーマであることを思い出させてくれる。
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わたしは生まれなおしている
スーザン・ソンタグ (著), デイヴィッド・リーフ (編), 木幡 和枝 (訳)
出版社:河出書房新社
20世紀アメリカを代表する知識人スーザン・ソンタグによる、14歳から30歳までの日記とノート。激動する時代と彼女が「ソンタグ」になる前の一人の女性としてのあらわな記録。
色々あるけど女の人生って、女の体って、進んでも、退いても留まっても、やっぱり基本は修羅だよな……って震えてしまってもうよくわからないけど最後はぜんぶまかしとけ、みたいな堂々たる気持ちになる本!
- < 川上未映子さんのおススメPOINT! >
- 人は色々なものに刺激を受けたり慰められたりして、今日を重ねて何とか生きたりするものだけれど、この道はいつか誰かが歩いた道なのだ、踏みしめられた道なのだ、っていうかよく見るとこのシミってなんか血痕に見えなくもないけれど大丈夫……? とにかく、この苦しみもこの幸せもこのどうしようもなさもこの辛さも何もかもを、すでに経験した女傑たちがいたのだ……見あげるようなそんな遥かな気持ちにも助けられたりもするものです。同情も馴れ合いも抜きにして、屹然とした「生きるってこういうことでしょう」が筋肉に突き刺さる、思わずひれ伏したくなる凄玉小説。
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母の遺産 新聞小説
水村美苗(著)
出版社:中央公論新社
若い女と同棲している夫がいて、その夫とのことを考えねばならないのに、母は死なない…。親の介護、姉妹の確執。離婚を迷う女は一人旅へ。著者自身の体験を交えて描く長篇小説。
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未闘病記 膠原病、「混合性結合組織病」の
笙野頼子(著)
出版社:講談社
突然の高熱と激痛に襲われた作家は膠原病の一種「混合性結合組織病」と診断される。不治、希少、専門医にも予測が難しいその病状。けれどその生き難さは創作の源だった。
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閉経記
伊藤比呂美(著)
出版社:中央公論新社
おばさんと呼ばれる女たちこそ、漢(おんな)である?。詩人・伊藤比呂美が、無頼で軽妙な調べにのせて、閉経前後の女のからだを根本としたさまざまなテーマを綴る。
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ディア・ライフ (CREST BOOKS)
アリス・マンロー(著)、小竹 由美子 (訳)
出版社:新潮社
チェーホフ以来もっとも優れた短篇小説家が、透徹した眼差しと眩いほどの名人技で描きだす、平凡な人びとの途方もない人生の深淵。自伝的作品4篇を含む全14篇を収録する。
妊娠・出産・育児は、想像を超える爆笑と涙の連続だ!!
きみは赤ちゃん
川上未映子(著)
出版社:文芸春秋
35歳ではじめての出産。それは試練の始まりだった!
芥川賞作家の川上未映子さんは、2011年にやはり芥川賞作家の阿部和重さんと結婚、翌年、男児を出産しました。つわり、マタニティー・ブルー、出生前検査を受けるべきかどうか、心とからだに訪れる激しい変化、そして分娩の壮絶な苦しみ……妊婦が経験する出産という大事業の一部始終が、作家ならではの観察眼で克明に描かれます。時にユーモラスに、時に知的に、子供をもつということの意味を問いかけます。
さらに出産後の、ホルモンバランスの崩れによる産後クライシス、仕事と育児の両立、夫婦間の考えの違いからくる衝突、たえまない病気との闘い、卒乳の時期などなど、子育てをする家族なら誰もが見舞われるトラブルにどう対処したかも、読みどころです。
これから生む人、すでに生んだ人、そして生もうかどうか迷っている人とその家族に贈る、号泣と爆笑の出産・育児エッセイ!
川上未映子(かわかみ・みえこ)
- 1976年、大阪府生まれ。
- 2007年、デビュー小説『わたくし率 イン 歯ー、または世界』(講談社)が芥川龍之介賞候補に。早稲田大学坪内逍遥大賞奨励賞受賞。
- 2008年、小説『乳と卵』(文藝春秋)で第138回芥川賞を受賞。
- 2009年、詩集『先端で、さすわ さされるわ そらええわ』(青土社)で中原中也賞受賞。
- 小説『ヘヴン』(講談社)で芸術選奨文部科学大臣新人賞、紫式部文学賞受賞。初出演の映画『パンドラの匣』でキネマ旬報新人女優賞を受賞。
著書に『そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります』(講談社)、『ぜんぶの後に残るもの』(新潮社)、『すべて真夜中の恋人たち』(講談社)など。
次回の『honto+インタビュー』は、阿部和重さんです。
最新作の伊坂幸太郎さんとの合作『キャプテンサンダーボルト』についてお話をうかがいました!
11月6日(木)公開予定。お楽しみに!!