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主人公の精一杯生きている姿に感動!
2004/08/09 08:20
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:やちも - この投稿者のレビュー一覧を見る
(たとえそれが“内向的”であるとわかっていても)
非日常的な世界へ挑戦することで青春時代を自分に
誠実に生ききろうとする若者の姿を真正面から描い
た傑作である。
ある日、街の中、美少女とチェーンソー男に、出逢った。
2007/07/26 00:03
4人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ざわ・・・ぶろぐ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本屋をぶらぶら歩いていた時、『ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ』という長くて、少し不思議な響きのタイトルが気になって手にとりました。買ってからはしばらく積み本と化していた本作を、ふと気まぐれで、寝る前に読み始めました。すると、どうでしょう。どんどん目が冴えていくではありませんか(笑
キリのいいところで本を置いて、夢の中へ夢の中へ行ってみたいと思いませんか~、うふっふ~(違 ――と、現代風の言い回しを用いれば、変なテンションになってしまうような、眠いだけのような。
しかし、読み出したら止まらないというのは、まさにその通りで、読み終えて目覚し時計を見ると4時前でした。
毎日を中途半端にダラダラと、特にコレといった目的も無く、変化の無い生活をイライラと過ごしていた高校2年生、山本陽介。ある日、彼のもとに救いが現れる。
セーラー服を身に纏い、正体不明、不死身で凶悪なチェーンソーを持った怪人に颯爽と立ち向かう美少女戦士の高校1年生、雪崎絵里。現実感の無い、突然どこかから降ってきたような、マンガ的アニメ的な衝撃的な出会い。
それまでの陽介の毎日はコペルニクス的転回を経て劇的に変化した。しかし、その先に待っていたのはネガティブで、ハッピーな、チェーンソーエッヂ的物語だった。
さらっと読めて、楽しめたけれど、考えさせられるものもある、決して軽くはなく、ネガティブ…ハッピー…何が何で、それはどうなのか…タイトルにも、センスを感じた1冊。
バトルと恋の行方
2020/10/05 20:07
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
絶対に倒せないチェーンソー男に、恐れることなく立ち向かっていく絵里が美しいです。実写版で三浦春馬が演じていた能登弘一の、生き急ぐようなバイク姿も忘れられません。
心理描写の巧みな“キャラクター小説”
2004/08/08 16:22
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:栄太郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
目的の無い青春の日々を、謎の不死身な“チェーンソー男”との戦いに費やす、平凡な高校生・山本陽介とセーラー服の美少女・雪崎絵理。現実と非現実が混ざり合った日々に、二人が迎える結末とは……?
このあらすじを読んで、本書を買うのを躊躇うのは無理も無いと思う。ライトノベルに対して偏見の少ない自分でさえその例に漏れず、文庫本になってからやっと購入してみた一人である。
この本は、ひきこもり作家・滝本竜彦の処女作である。実は小説ではなくエッセイが面白い作家なので、小説に対する期待はやや宙ぶらりんな物だった。購入後も暫く放置していたほどだ。
読み始めて数ページでその生半可な気持ちは凌駕された。
社会に溶け込めない訳ではないけれど、何事にもシニカルな視点を向け、無気力な感情に為す術も無く浸っている主人公。非現実的な力と魅力を備える、ちょっと暗い美少女——
どちらもライトノベルやら漫画やらでは有りがちな設定だが、この二人が奏でる青春のメロディーは決してそんな軽い虚構物ではない。読む者にリアルな痛みを思い起こさせる。
ただ限定させて頂くなら、九十年代以降に多感な十代を送った方に顕著であろう、ということである。何故なら自分も今十代の道を疾走中の身であるが、正に今十代の方なら解る痛みが満載なのである。この作品の魅力は、描かれたジェネレーションが特有のものであることに意味があるのは想像に難くないことと思われる。
今まで生きてきた中で、確かなアイデンティティーを得ることができただろうか……若しくは先々手に入れられるだろうか——
そんなもやもやして掴めない靄のように不安な日々を、主人公達は“チェーンソー男”と戦いながら自覚し変わっていく。言葉に出来ない不安を乗り越えていく。
滝本氏も言っているように“後ろ向きな青春”を送ることによって、主人公は前向きな現実と自己を獲得していくのである。この内容に付いた“ネガティブハッピー”というタイトルは素晴らしく的を射ている。読後感は、妙に清々しくも有る。
人生に悩みながら遣る瀬無く日々を送る学生は勿論、物質で満たされようとも空虚な精神の歪みを見出している大人の方々にも読んで頂きたい。何故なら本書には、稚拙でちぐはぐしてはいるが、一つの明確な社会との共存する姿が描かれているのだから。
個人的には、阿倍吉俊氏のイラストが表紙の時点で買う価値あり。
絶対に勝てない怪物との戦い
2005/09/01 05:11
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投稿者:suguzr - この投稿者のレビュー一覧を見る
「普通の」高校生の<陽介>と<絵理>は、夜な夜な現れる不死身の<チェーンソー男>との戦いに、貴重な青春の時間を浪費し続ける。<絵理>は、<チェーンソー男>が現れるのと同時に人間離れした身体能力を手に入れ、投げナイフで<チェーンソー男>と戦うのだが、<陽介>のほうは何の能力も得ることもなく、それを見ていることしかできない。
”途中でいろいろ諦めておくのが、一番まっとうな、普通のやり方なのだ。”
「普通」に生活していれば、<チェーンソー男>が現れることはない。では「普通」とは何だ? ……などと考え始めるとヤツが闇の向こうから忍び寄ってくる。
考えてはいけない。ヤツには絶対に勝てない。ヤツに負けない唯一の方法は戦わないことだ。諦めろ。
しかしまた、<絵理>が人間離れした身体能力を手に入れたように、ヤツに出会うことで、何かが変わることも確かだ。<陽介>は何の能力も得ることは無かったが<絵理>のそばにいることができた。<陽介>も望めば能力が手に入ったのかもしれない。ただし、能力を得たなら戦わなくてはならない。”そいつと戦える力が急にあたしに付いちゃったんだから、あたしが戦うのが普通でしょう?”
そう、道を選んだなら最後まで行かなくてはならない。そしてその道に最後などない。私たちはそれを出発する前から既に知っている。夥しい数の文字、リアルでない体験、消費するための物語から私たちは学びとってしまった。それゆえに私たちは道を行くことはおろか、道を選ぶことすらできない。そして雨戸を閉め切った狭い部屋に引きこもるのだ。始まらない旅は終わらず、道を行く脚の痛みもない。しかし狭い部屋で動かさない体は生活習慣病を引き起こす。どちらにしても苦しみから逃れることはできない。なんてひどい話だ。”この世は地獄だ。不条理に満ちあふれた永遠の地獄だ。”
私たちは未来を知っている。既知の未来は既に未来ではない。私たちに未来はない。
私たちは孵化することを夢見つつ、変わることを恐れる。不確定なはずの未来におぼろな夢を託しながらも、未来が既に決定している事を確信している。あしたやれば…… あした…… そして何も成すこともなく、あしたは来なくなる。決定した未来から逃れること、それは終わること。私たちは全ての終焉、どこか懐かしい練炭の光に拠って、爆走する鉄塊の咆哮に拠って、スパークするエレキギターの火花に拠って、美しく輝く博物館の標本のように、完成する——すべての呪縛から解き放たれこれ以上何もすることのない、完璧に自由な状態になる——ことを望んでいる。もしも、何処かの誰かが、勝てない怪物に勝てたとき、彼はもうこの世界にはいない。そしてそのとき彼は、この世界の何よりも、絶望的に美しい。
”ダッシュだ。ジャンプだ。危ない、落とし穴! 逃げろ! ヤツが来る。誰もヤツには勝てやしない。だから逃げるんだ。逃げよう。逃げ出せ。一直線に。”
そして彼らは「普通」になった。<チェーンソー男>はもはや現れることもなくなった。
きっとそれが一番マトモで、ジャスティスで、フツーな事なんだろう。
……。
読書サイト「積書生活」
シラケている高校生を描く
2022/12/30 22:28
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投稿者:鎮文修 - この投稿者のレビュー一覧を見る
この作品が発表された、現在から遡ること20年くらい前の時点でさえ、高校生の少なくない数が鬱屈し、何事にも白けた雰囲気があったことが窺える。
美少女が立ち向かっているチェンソー男は(主人公と少女にとっての)鬱の元なのではないかと思う。