仏教の律について
2024/02/01 17:24
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投稿者:福原京だるま - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本では(残念なことに)あまり意識されていない仏教の律について現代社会の組織のあり方も含めて解説されている。2500年前から仏教という組織が続いてきた秘訣がわかる。
「オウムとは何であったか」を知る本
2011/05/08 11:01
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:碑文谷 次郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
釈迦とその弟子たちによって制定されたという「律」、天平の時代に唐から鑑真和上が伝えたという「律」、そして日本仏教界では失われ、スリランカ、ミャンマーなどのサンガでは生き続けているという「律」・・・その「律」とは何だろうか?という素朴な疑問から本書を購入しました。説明の途中に、原始仏教との比較対象として何故か「オウム真理教」がちらほら出てきます。せめて、親鸞とか、禅宗とか、あるいはキリスト教会、イスラム教団における「ルール」「サンガ内の決め事」との異同を繙いてもらえれば、より広い視野から原始仏教思想が際立つのに、と思いつつ読み進むと、何と突然「第四章 オウム真理教はなぜ壊れたか」と独立した1章が登場します。ここで麻原彰晃の生い立ち、選挙での惨敗やら地下鉄サリン事件までが丁寧に説明されますが、オウムに関心のある人以外にとって、”それがどうした”と云いたいことばかり。第五章以下でも折に触れてオウムの話を聞かされるのか、本当に「律」についての理解が深められるか――少々不安な時点で(通読する以前に)自腹購読者の感想を記しました。
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律は、修行をするために自らを律するものというよりは、修行の便宜のために社会や集団に適応するシステマティックなもののようだ。
倫理の教科書からでは、仏教のシステマティックな部分に触れることができない。こんなにも修行のことを考えた宗教だとは思ってもみなかった。
修行という自分の好きなことに打ち込むために全力を尽くす、なるほど科学者集団と似ているかもしれない。
科学者の研究資金は僧への布施と同じというのもなるほど、である。布施を受けるのに尊敬がいるように、科学者も襟元正してやっていかねばならないのである。
結局は自分の趣味のために食わしてもらっているのだから。
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釈迦が考えた「生き甲斐」を手に入れる究極の方法。
日本仏教から失われた「律」には、幸せに生きるヒントがたくさんあります。
「律」に秘められた釈迦の哲学を解説します。
本当に分かりやすいです。
NECO塾はサンガだったのだと、気づきました。
では、私たちが一番頼りにできる生き甲斐とはなにか。最大限に広い言い方で答えよう。それは「一生涯続けることのできる、自分の好きなこと」である。外界から無理強いされていやいやするのではない、自分がやりたくてやりたくて仕方がないことを好きなだけやる、そういう毎日が死まで続くなら、人は「生きてきてよかった」としみじみ思う。さらに言うなら、そうしてあり続けていることの成果が蓄積していって、はっきりとした姿で現れてくるなら、喜びは倍増する。もっと言うと、その成果が、自分が死んだあとも残る恒久的なものだと、なおさら満足感は深くなる。「今自分がやっていることの意味は、死んだ後もずっと残る」という思いは、人に強い安心感を与えてくれる。「もの」や「肩書き」を生き甲斐にすることもできるが、それよりも「一生涯続けることのできる、自分の好きなこと」の力が生き甲斐としての信頼度が高い。さらにそれが、「死後の世界にまで水続性を持つもの」なら、なおさら好ましい。 ー 11ページ
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仏教の経(教え)ではなく律(教団の法律)に焦点を当て、組織運営の秘訣を探る。わかりやすいエピソードが多い。頻繁にオウム真理教を引き合いに出して仏教の運営の素晴らしさを説いている。最後の方の科学者は出家だという論にはわかるところもあるが首を傾げる。
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第一章 律とはなにか
「修行する」宗教/「三宝」とは/サンガと律/なぜ「集団」なのか/大乗仏教と日本仏教/上座仏教は「釈迦の仏教」か
第二章 「出家」という発想
出家とはなにか/好きなことだけやって暮らす/一般社会における「出家」/「食べていけない」リスク/「托鉢」という生活方法/組織存続の鍵
第三章 律が禁じた四つの大罪
律の構造/波羅夷という大罪/性行為はなぜ禁止なのか/もう一つの理由/経分別の解説/窃盗罪について/殺人/「悟り」を偽ること/俗世間との関係性/けん度について
第四章 オウム真理教はなぜ壊れたか
オウムと仏教の共通性/オウムの黎明期/ヨガ教室から宗教法人へ/特殊な出家制度/「殺人教団」への変貌/「真理党」の選挙惨敗/そして地下鉄サリン事件へ/人を不幸にする出家
第五章 生き甲斐の見つけ方
仏教との出会い/在家と出家/出家の手続き/師弟関係/出入り自由/財産と家族/オウムとの比較/「還俗の自由」の重要性/師の権力の制限/目的と運営/法臘による上下関係/組織の寿命/生活の基本となる四項目/「生き甲斐のための組織」のチェックポイント
第六章 出家的に生きるということ
出家としての科学/科学と科学技術/参入ハードルの違い/出家者の姿勢/生活共同体と情報共有体/科学界の「波羅夷罪」はなにか/科学における布教/出家としての政治/布施と見返り/出家的に生きる