不滅の連合艦隊司令長官
2006/01/10 00:50
6人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:濱本 昇 - この投稿者のレビュー一覧を見る
東郷平八郎を知らない私に取っては、山本五十六は、連合艦隊司令長官としては、最高の人物と自認しているので、その人となりを知りたいと思っていた人物である。ふらっと入った古本屋で見つけて迷わずに手にした。
彼は、対米戦を彼自身が立案した真珠湾攻撃の直前まで避けようと努力したのであるが、その願いは叶わずに真珠湾攻撃は実現してしまった。浮かれ喜ぶ回りの反応に比べて、沈痛な表情を浮かべた彼の心情を鑑みた時に、非常に複雑な心境になるのである。
上巻では、彼が海軍上、台頭してくる頃から真珠湾攻撃の決定までが彼の人となりを紹介しなら綴られている。彼の面白いエピソードを少し紹介しておく。
男は、丸刈りにしろ、女のパーマネントは、いけないとやかましく言われていた非常時の中で、「丸刈りだろうが長髪だろうが、新活生活に何の影響があるのかね」と答えている。見かけに依らず人を判断する彼の考えを反映している。
彼は、航空機部門の技術部長を務めていた。その時開発されたのが、三菱零式艦上戦闘機、所謂零戦である。このゼロというのは、皇紀紀元2600年に開発されたという意味で、九七式とは、皇紀紀元2957年に開発されたという意味である。この航空機部門の技術部長時代の経験が、今後の海軍の主力は、巨艦ではなく、航空機であると彼に認識せしめたのである。
彼は、日本の工業界にも大きな影響を与えている。当時、航空機製造は、三菱と中島くらいだったが、三井、住友、日立にも声を掛けている。そして、日立の小平波平創始者は、「多くの技術者が戦争に取られる状態では技術開発は難しい。その辺を是正してもらえれば、航空機部門を立ち上げても良い」とちゃんと自らの主張をした。山本は、小平の要請を受け入れるというように、優れた人物の対話からは、建設的な議論が為され、実現化するという事が良く分かる。
彼は、トップに相応しいか否か不明だか、一種霊的なもの、現象を信じる傾向があった。
トップは、極秘を好むものだが、彼は、非常にオープンで、時に新聞記者が驚くほどの情報を話したという。これは、大人物の証明だと思う。
彼は、日独伊三国同盟にも反対だったし、ソビエトとの不可侵条約にも反対だった。ドイツとの同盟は、アメリカを敵に回す口実になるし、不可侵条約なんて、ソビエトは簡単に反故にすると未来を読んでいたのである。
航空機を主力とした真珠湾攻撃は、当時の日本海軍の常識からすれば、本当に考えられない事であった。当時の日本海軍は、日本海海戦のような艦船決戦を未だに主力戦闘方法と考えていたのである。そういう常識の世界で自分の開発した航空機を主力とした戦闘方法を結果的には、推し進める事が出来た彼のリーダーシップには驚かされるところがある。
彼の人となりを理解しながら、非常に楽しく読む事が出来た。
勝負に強い山本五十六
2017/11/21 20:13
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ジミーぺージ - この投稿者のレビュー一覧を見る
海軍を通しての山本五十六の立ち位置が書かれています。
特に彼の武勇伝が書かれているわけではなく、
博打好きで女好きの男として書かれています。
なので、何故、山本五十六が英雄になったか、
普通の軍人と何処が違っていたのかについての記述が
もっと欲しかったと思います。
真珠湾攻撃だけが彼を英雄にしたのでしょうかね。
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:七無齋 - この投稿者のレビュー一覧を見る
戦後間もなくの著書だからそれなりの臨場感がある。他人の評価はまちまちではあるが他の類似本の基調ともなる本。
投稿元:
レビューを見る
うーん・・・ 上巻は太平洋戦争開戦前のエピソードばかりなので何とも(^_^;) 下巻の出来如何によるかな? ただ、今まで持っていた「山本五十六感」とはちょっと違います。読む価値はあるかと。
投稿元:
レビューを見る
「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かず。話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず 。やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず」
投稿元:
レビューを見る
読んで感じたこと。
・近藤泰一郎は一介の在外武官であったため、現地で見て、実感してきたことに基づいて鳴らした日本政府への警鐘が、頭の凝り固まった偉い人たちに受け入れられなかった。
しかし伊藤は自身で外遊したため、麾下の西郷や副島たちの征韓論を退けられた。
上にいる人は、状況が許せば自身で識見を高めたり現場を視察することが望ましいが、無理なようであれば麾下を送り(信頼できる)、その人の言うことを信頼できるということが必要だと思った。
・五十六は自分の地位に執着していない。むしろ壮年期には「そろそろ海軍を辞して故郷に帰り‥」などということを考えていた。
嶋田なんかは地位を守るために動いて、結局地位は守れたが国は悪いほうへと進んでしまった。
五十六は優先すべきものをわきまえていた。結果はちゃんとついてきた。岡田も米内も、五十六を中央へ戻そうと運動をした。
扇さんもはじめ、やりたくもない大臣に就けられたせいもあって職に全く執着せず言いたいことを言って、かえって支持を集めた。
自分の命、ましてや地位・学歴などは全く取るに足らないものと心得た人でありたい。
・東郷平八郎のように手柄があったとしても、決して聖将などと言われて自分を見失ってはいけない。驕ってはいけない。
千里馬は常にあるのだから、自分が伯楽になるよう努めなければいけない。
いつも心を謙虚に保てば、田沼のように目下の人の正論を受け入れることができる。
とは言っても、後輩の進言には2種類ある。追従と諫言。
山本五十六の死んだ、あの飛行を止めようとした人々は、ともすれば前者と取れなくもないが、少し考えれば後者であることは明白である。
連合艦隊司令長官が終戦を望んでいるという珍しい状況だったのに、自ら命をなげうっては意味がない。
自分を過大評価したくないのは無論であるが、過小評価も考えものである。
投稿元:
レビューを見る
物語形式でなく、エッセイ風に書かれているため内容を客観的に理解出来るのが良し。
面白いエピソード等は大抵網羅してるのでは?この情報量は重宝しそうです。
投稿元:
レビューを見る
山本五十六を直接知る人へのインタビューを中心として書かれた記録。昭和9年のロンドン軍縮会議以降、海軍次官を経て連合艦隊長官となるまでが上巻の範囲。
投稿元:
レビューを見る
海軍は、その生い立ちからイギリスの影響を受け、開明的なところもあった。山本の開戦への葛藤が読み取ることが出来る。
彼のマネジメントは”人”を見ること。ビジネス書としても読む価値ある。
また、彼が長岡藩(河井継之助)の流れを汲み、薩摩閥である海軍のドンになった経緯も興味深いところ。
投稿元:
レビューを見る
今まで連合艦隊司令官としての山本五十六さんしか知らなかったけど、軍縮会議や三国同盟の際に政治家として(政治家表現は本人の軍人としての誇りに反してしまうが)手腕を発揮されていた姿を知り、真の日本人を見た
また賭け事好きな一面に、この偉人に人間味を感じた
人物について細部まで書いてるせいで、上巻の最後でようやく開戦の気配が出てくるから、進みは非常に遅い
ただあの戦争を語る上で山本五十六さんの関係性が不可欠である以上、色んな角度から見れるこの本の書き方は個人的に好き。
下巻が楽しみ
投稿元:
レビューを見る
山本五十六という人のことについて、知りたく読んでみた。自分は主に真珠湾の攻撃の立案から、その実行過程を緻密に描いたところや実際に起こったあとの山本五十六のことについて、詳細な描写を期待していた。
しかし、戦闘よりも、山本五十六の愛人関係や賭博などの話が多かったので、期待したこととずれていた。
別の本を読めば良かったのかもしれない。しかし、人として暖かみのある親近感のわくような感じはした。
投稿元:
レビューを見る
これ、城山さんの「鈴木商店」と同じで綿密な取材と
筆者の考察による山本五十六の履歴・調査書的な
形でおもしろい。。
はやく下巻を読もう!
投稿元:
レビューを見る
作者は山本五十六に対して一定の距離をおいて、必要以上に感情移入することなく、敢えて言えば淡々と史実に基づいて叙述しているといった印象を持った。山本五十六は非戦論を最後の最後まで主張していたのだが、最終的には参戦に与することになった。どのような経緯があったにせよ、その判断は否定せざるを得ない。
投稿元:
レビューを見る
映画やってますからね。行きたい!
さて・・・
映画の原作となっている半藤一利さんの五十六は読んだけど、他の方が書いたのも読んでみようと手にした本。
生い立ちなど詳細に書かれている。
読みやすい。
投稿元:
レビューを見る
仕事上のトラブルから、友人に勧められ手を取ってみた。山本五十六という人間術、仕事術の面白さが伝わってくる本。自分も我慢しなれけばいけないと、身につまされる。
息抜きをしながら読める。後半も楽しみ。